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封止用フィルム製造工程で付着異物対策

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封止用フィルム製造工程で付着異物対策
クリーナー導入に関するよくある質問

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|| 始めに、封止に、封止材について

 

封止材は、デバイスやセルなどを水蒸気や酸素から隔離するための部材です。有機EL(OLED)・有機薄膜太陽電池は、デバイスに使用する有機化合物が水分に高い反応性を有する性質があります。ガラスや金属など高いガスバリア性を持つ部材で、デバイスやセルを水分から隔離する必要があります。フレキシブルな有機ELを制作するためには、ガラスや金属ではなく、高いガスバリア性を持つバリアフィルムが必要になります。有機化合物を水分から遮断できる高いガスバリア性フィルムを市場に供給するために、各社が研究開発にしのぎを削っている分野です。また、最近では酸素・水蒸気に強い有機デバイスの研究開発も行われているようです。

 

現在主流のシリコン太陽電池では、EVAを封止材としてガラスとバックシートの間に貼り合わせた構造で市場に供給されています。EVAは、エチレン酢酸ビニル共重合体で、封止材としての用途があり セルを水分から遮断します。また、酢酸の濃度を低くして酢酸臭を抑えたものは、EVAの水蒸気バリア性・透明性・ストレッチ性が高い特徴を利用して、生鮮食品のストレッチフィルムや深絞り容器、ラミネートフィルムとしても利用されています。

 

||  非接触式ウェブクリーナーは、ロールtoロールで走行しているフィルムの除電・除塵プロセスを自動化します。

 

 非接触式ウェブクリーナーは、対象物の表面の清掃が必要なプロセスに局所的に設置することで、表面の付着異物を取り除くことができます。フィルム表面のクリーニングに必要な機能がコンパクトに装置化されていますので、初期導入時に必要な条件だしを簡素化することができ、導入までに要する時間や労力を軽減できます。そして、除塵プロセスが自動化し、生産性向上につなげることができます。

 

以下では、ドイツ ドクターエシャリッヒ社(Dr.Escherich GmbH)が製造する除塵装置・ウェブクリーナーの用例ご紹介します。(総代理店 ㈱ケー・ブラッシュ商会)  

 

① フィルムに付着した微粒子・塵埃を非接触インラインで除塵

 

お客様の課題

生産環境中には、小さなパーティクル・微粒子が浮遊しています。粒子径が1μm以下のものは、目では見えない大きさで落下せずに環境中を漂っており、1μm~50μmの粒子径のものは、重量により落下してくるといわれています。このような生産環境に浮遊している塵埃は、ロールtoロールプロセスで生産しているフィルムの静電気に引き寄せられて表面に付着することがあります。太陽電池の封止材として使用されるEVAフィルムの場合、表面に微粒子を付着させたまま後工程へ搬送されると、プラスチック製のバックシート(多層フィルム)と貼り合わせるときに、不良の原因となり、最終製品のスクラップにつながる恐れがあります。

  

解決策

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非接触式ウェブクリーナー クロスジェットをフィルム生産ラインのロールtoロールプロセスに設置して、フィルムをインラインでクリーニングする施策があります。クロスジェットの直前にはスマートイオン(エアフリー パルスDCイオナイザ)100Dを取り付けます。スマートイオン(エアフリー パルスDCイオナイザ)100Dは、高出力のイオナイザーで高帯電物を強力に除電する能力があります。除電されたフィルムがクロスジェットを通過すると、フィルム走行方向とは逆向きの高速エアを表面に叩きつけて、境界層と呼ばれるフィルム表層の空気膜を破壊して微粒子を取り除き、吸引チャネルから吸引除去することができます。吸引したパーティクルはダクトホースを介して別置の集塵機に設置したフィルターで捕集していきます。

 

ミクロンオーダーの小さなパーティクルを除塵するためには、走行しているフィルムの境界層を破壊して除去する必要があり、クロスジェットはこのような用途に最適なウェブクリーナーです。

運転データ

□フィルム: 封止用フィルム(EVA)
□処理幅: 1500mm
□フィルム厚:200μm
□速度:150m/min
□クリアランス:1mm
□システム: クロスジェット180型、高圧ブロア、集塵・制御ユニット、スマートイオン(エアフリー パルスDCイオナイザ)100D

 

下の写真をクリックして、クロスジェットの原理をYoutubeでご視聴頂けます。

クロスジェットの詳細をみる

 

② フィルムに付着したスリッターの切粉を非接触インラインで除塵

 

お客様の課題

スリッターでロールに巻いてあるフィルムを巻き出して、カッターで所定の幅に裁断する工程です。ロールからフィルムを巻きだしていくときに、巻いてある状態では接触していたフィルムとフィルムがはがされることにより、剥離帯電が発生し、フィルムは静電気を帯びて走行していきます。スリッターの中ではフィルムはガイドロールで接触・剥離を繰り返しながら走行することにより静電気を強く帯びていきます。そして、カッターの刃による裁断も静電気が発生する原因になります。刃で裁断するとフィルムの切断面からスリットカスが発塵し、帯電したフィルムの表面や端面に付着していきます。裁断後にフィルムを巻き取っていくと、フィルムに付着した異物をそのままロールの中に含有してしまうことになります。これは納品先の現場や後工程で問題を引き起こす原因になります。

 

 対策のため、粘着ロールがスリッターの直後に取り付けることがあります。しかし、スリッターから次々と発塵されるカスは粘着ロールをすぐに汚染させ、ロールの粘着力を低下させるので、異物を転写させる粘着性テープの頻繁な交換が必要になります。また、パーティクルを吸着した粘着ロールは平滑性を失い、幅方向で均一にスリットカスを粘着させる能力を失います。現場の保全部門は、頻繁な粘着ロールのメンテナンスにより負担増大につながります。


スリットカスを非接触インラインで除塵できること、定期メンテナンスが簡単で除塵プロセスを自動化したい、というのが現場でのニーズです。

解決策 

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写真はスタティックエア013型をスリット後のフィルムクリーニングのために設置したものです

 

スタティックエア013型は写真のように、フィルム走行方向に短く、縦に長い独特な形状をしています。ガイドロールや配管類が入り組んでいる機械の中に後付しやすいように設計された形状です。スリッターはガイドロールが複雑に入り組んでいる設備なので、設置するウェブクリーナーの除塵能力も大事ですが、付帯工事を極力なくして後付けできることが、ウェブクリーナーを選定する重要なポイントです。スタティックエア013型(または09型)のコンパクトなボディは、スリッターへの後付けにも適しています。


スリットした後、切粉はフィルムの端面や表裏面に付着します。また、スリッター内のガイドロールを介して走行しているフィルムは静電気を強く帯びているので、フィルムを除電しながら付着異物を表面から除去して集塵する必要があります。


スタティックエアは、静電気除去バーを内蔵しておりフィルムの静電気を強力に除電して、付着異物をフィルムから取り除きやすい状態にします。そして、フラットジェットノズルからの圧縮エアーブローでスリットカスや付着異物を非接触で吸引チャネルに運び別置の集塵機で回収していきます。このプロセスは、非接触インラインで行われ、除塵プロセスを自動化することにつながります。

 

下の写真をクリックして、スタティックエアの原理をYoutubeでご視聴頂けます。(※動画は、スタティックエア08型です)

フィルムの加工工程(印刷・検査・ラミネート・コーティングなど)で、粘着ロールによりフィルムに付着したゴミやほこり・毛髪・毛屑・虫を吸着除去する方法があります。ロールの粘着面をフィルムに接触させて、付着異物を吸着除去するための除塵方法の一つです。一方、粘着ロールの保守管理には、頻繁なメンテナンスが伴います。スリッターで発塵する切粉を除塵する用途では、粘着ロール・転写テープをすぐに汚染させてしまうので、その分メンテナンス頻度の増大につながります。


ウェブクリーナーの選定では、メンテナンス性も重要なポイントです。スタティックエアによる非接触クリーニングは、定期メンテナンスの頻度を劇的に改善します。これは、生産ラインの除塵作業の自動化のための重要なポイントです。スタティックエアでフィルムを非接触クリーニングすることで、生産性の改善に大きく貢献することにつながります。

 

運転データ

□フィルム: 封止用フィルム(EVA)
□システム: スタティックエア013型、集塵・制御ユニットESUC
□圧縮エア: 0.1~0.15MPa

 

スタティックエアの詳細を見る

 

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