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電池製造工程で革新的なドライ洗浄技術!

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電池製造工程で革新的なドライ洗浄技術!
 

目次


電池製造とCO2スノードライ洗浄技術
CO2スノードライ洗浄装置とは?
電池製造工程でのCO2スノー洗浄の用途
CO2スノードライ洗浄の4つの洗浄効果
機器構成・装置技術
ユーティリティー
どんな異物を除去できるか?
CO2スノージェット洗浄装置のメリット
CO2スノージェット洗浄装置とカーボンニュートラル・SDGsの関係


関 連 情 報

電極・極板・箔の異物対策装置 関連情報
電極・極板・箔の非接触搬送技術 関連情報
その他 電池製造技術 関連情報
異物対策・静電気対策の基礎 関連情報
SDGs・脱CO2・カーボンニュートラル関連情報




電池製造とCO2スノードライ洗浄技術



二次電池とは、繰り返し充放電して使用することができる蓄電池のことです。二次電池は、スマートフォンや電気自動車・家庭用蓄電池等、様々な分野へ適用されています。

水素燃料電池は、水素を供給することで酸素との化学反応により、発電することができる電池です。自動車・長距離トラック・船舶等の新しい分野へ進展しようとしています。

電池が社会に普及すると同時に、電池の発火に伴う安全性の問題は、重要なテーマになっています。

リチウムイオン二次電池や水素燃料電池は、高いエネルギー密度を備えることが電池の能力につながりますが、高い安全性を確保することが至上命題です。

電池の安全性を確保するために、電池製造工程で高い品質であることが必要で、異物対策・洗浄方法は常に重要なテーマです。

電池の研究開発は日進月歩で、研究開発の進展やバッテリー技術の革新に伴い 新しい製造工程が発案されていきます。製造工程が改良されていくと、新たな発塵源や異物対策が必要になります。そして、既存の洗浄方法の改善・新しい洗浄方法の検証も行われていきます。

例えば、リチウムイオン二次電池の電極を構成する部材である、正極材・負極材・セパレータ製造工程では、異物対策として、接触式ウェブクリーナー非接触式ウェブクリーナーで対策を講じます。

電池の中の電気的な接点になる部分は、異物や汚染物が付着してないことが必須です。例えば、電池セルとリードフレームの接点です。接点への金属系異物の付着は短絡の原因になります。微小なゴミ・ホコリ・微粒子だけでなく、皮膜状の汚染物も残渣として付着してないことが要求されます。こうした異物は、エアーブローノズルや集塵フードでは、除去効果が得るのが難しいかもしれません。

この他、電池セルの接点部の洗浄方法・レーザー加工後のバイポーラプレートの洗浄・バイポーラプレートの穴あけ加工後、樹脂製ハウジングの清掃など、異物対策・ドライ洗浄が求められる用途は様々あります。

こうした電池製造方法の進展に伴い、CO2スノーによるドライ洗浄技術が電池製造工程での洗浄技術の選択肢になりつつあります。

CO2スノージェット洗浄装置は、液化炭酸ガスを特殊なノズルから噴霧して、汚染物をドライ洗浄する技術です。

このページでは、CO2スノージェット洗浄装置の概要と電池製造工程での用途をご紹介しています。



CO2スノードライ洗浄装置とは?

 

CO2スノードライ洗浄装置は、特殊なノズルから二酸化炭素の結晶(スノー)を放射して、基材表面をドライ洗浄する装置です。

供給源には、ボンベまたはタンクの液化炭酸ガスを使います。液体CO2を特別な液送技術で専用ノズルへ送ります。ノズルからは、ノズルから噴霧すると微小な氷の粒(スノー)になります。CO2スノーは、シールドエアで加速されて最大500m/sの速度で基材に到達して表面を洗浄します。

基材に表面に到達したスノーには、微小なゴミ・ホコリ・樹脂カス・金属粉塵だけでなく、有機系異物(タンパク質・セルロース系)・皮膜状の溶剤の残渣・油の皮膜、を洗浄する効果もあります。

エアーブロー集塵型のクリーナでは除去が難しい、様々な異物や汚染物をドライ洗浄する能力があります。

そして、部材をマスキングして洗浄することができるので、洗浄不要な部位はマスキングして、局所的な洗浄ができます。

表面をドライに仕上げたら、乾燥工程を不要にして ワークを次工程へ搬送することが出来ます。

溶剤・IPA・炭化水素など、ケミカルを使うウエット洗浄ではありませんので、洗浄後の廃液処理の問題はありません。環境負荷が低い洗浄技術です。


CO2スノージェット洗浄装置の詳細みる




電池製造工程でのCO2スノー洗浄の用途



◆バイポーラプレート(燃料電池セパレータ):

 ステンレススチール合金のバイポーラプレートをレーザー加工後に、残渣として表面に残るヒューム・すすをドライ洗浄します。そして、次の穴あけ工程(パンチング)へ洗浄したバイポーラプレートを搬送します。


◆バイポーラプレート(燃料電池セパレータ):

 穴あけ加工後の粉塵・加工屑をドライ洗浄


◆角柱型・円筒型・パウチセル(リチウムイオン二次電池):

 バッテリーセルの接点をドライ洗浄。接点・接合部では、金属異物の付着は、短絡の原因になります。わずかな粒子状異物や薄膜汚染物でも品質を損なう原因になるので取り除く必要があります。


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CO2スノードライ洗浄の4つの洗浄効果



CO2スノージェット洗浄装置は、液化炭酸ガスを特殊なノズルから噴霧して、基材表面の汚染物・付着異物を除去するドライ洗浄装置です。

液化炭酸ガスは、ノズルから噴霧すると微小な氷の粒(スノー)になります。そして、シールドエアで速度 約500m/sec へ加速して基材表面を洗浄します。

CO2スノー洗浄には、4つの洗浄効果があります。


① CO2スノーの衝撃で洗浄
 
CO2スノーを加速させて基材に衝突することにより、マイクロブラスト効果があります。CO2スノーの硬度はとても小さいので、基材のダメージを最小限でドライ洗浄します。

② 急速冷却

低温のCO2スノーが汚染物を急速冷却して脆化させます

③ CO2スノーの膨張エネルギーで洗浄

昇華によりCO2の体積が600~800倍に膨張。膨張する時のエネルギーで表面を洗浄します。

④ 溶剤効果

シクロヘキサンと同等の溶剤効果で表面を洗浄します。

写真6
fiereffect.png

ノズルから噴霧されたCO2は、基材表面に衝突すると昇華します。これにより、表面の汚染物や小さな微粒子は冷やされて脆化して、昇華の力で表面から取り除かれます。



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機器構成・装置技術



洗浄装置は、大きくプロセスモジュールとノズルで構成されています。

プロセスモジュールは、液化炭酸ガス用電磁弁・フィルター・クーラー・レギュレーター、圧縮エア用電磁弁・フィルター、レギュレーター、PLC、これらの部品を内蔵してユニット化したものです。プロセスモジュールから液化炭酸ガス液送用チューブ・圧縮エア用ホースを介して、ノズルへ接続しています。

独自に設計された液化炭酸ガス液送技術が配管の結露・ノズル詰まりのリスクを最小限にしています。

特許取得済のノズルは、再現性が高いスノーを噴霧することが出来ます。

パーツtoパーツの洗浄プロセスで必須の断続運転・間欠運転に対応できます。

写真:ノズル1本を搭載した装置 ジェットウオーカー
jetworker.jpg



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ユーティリティー


CO2スノージェット洗浄装置のユーティリティーは、液化炭酸ガス・ドライ圧縮エアまたはドライ工場エア・電源です。

液化炭酸ガスは、消費量が少ない用途ではボンベを使用します。ボンベは、底の液体CO2を吸い上げる管が付いたサイホン式のボンベを使います。消費量が多い用途では、タンクから供給します。




どんな異物を除去できるか?



◆微小なゴミ・ホコリ・塵埃

生産環境に浮遊している微小なゴミ・ホコリ・塵埃・繊維クズ。こうした異物は、用途によりエアーブローノズル・除電ブロー・集塵システムで対応できることもありますが、CO2スノージェット洗浄装置でも、除去できる異物です。

◆有機系異物

CO2スノージェット洗浄装置は、有機系異物に対して高い洗浄効果を発揮します。有機物とは、炭素原子を含んだ化合物の総称です。人体で作られる脂肪やたんぱく質も有機物です。セルロース系異物も有機物です。主に衣類から発塵することがあります。工場の生産現場では、人から起因する有機系異物・皮脂汚れが生産中の接点・接合部に付着して汚染することがあります。有機系異物は、エアーガン・エアーブローノズル・除電ブロー・集塵システムでは、除去するのが難しい事があり、対処するのに手を焼くかもしれません。CO2スノージェット洗浄装置は、このような有機系異物をドライ洗浄するのに高い効果を発揮します。

◆膜状汚染物・油膜

接着剤の残渣が薄膜状にこびれついたもの、油が薄膜状に付着したもの。このような薄膜状汚染物をCO2スノージェット洗浄装置でドライ洗浄します。


◆レーザー加工後の すす・ヒューム

燃料電池セパレータのレーザー加工工程で発生した すす・ヒュームをCO2スノージェット洗浄装置でドライ洗浄します。


その他、電池の用途以外にも、CO2スノージェット洗浄装置では

フラックスの残渣(プリント基板)
◆純銅の酸化皮膜(スパッタリング)

ような汚染物も洗浄対象になります。


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CO2スノージェット洗浄装置のメリット


◆ドライ洗浄!

◆有機溶剤を使用しません!

◆短いタクト・早い洗浄時間!

◆残留物を残さない洗浄!

◆局所洗浄・部分洗浄ができます! (洗浄不要の部位にはマスキング)

◆湿式洗浄・ウェット洗浄のような廃液処理の問題がありません!

◆環境にやさしい洗浄技術!

◆バッチ洗浄工程・自動洗浄工程、どちらにも適用できます!


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CO2スノージェット洗浄装置とカーボンニュートラル・SDGsの関係


カーボンニュートラルとは、2020年10月に政府が決定した2050年までに地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量を、吸収量と相殺して全体としてゼロにするという事です。

カーボンニュートラルへの取り組みは、製造設備の選定にも注目されるようになっています。


CO2スノージェット洗浄装置は、運転中は、ノズルから二酸化炭素を吐出しています。これは、カーボンニュートラルを考慮に入れたうえで、どのように理解したらよいのでしょうか。


CO2スノージェット洗浄装置は、ユーティリティー(供給源)に液化炭酸ガスを使用しています。

液化炭酸ガスは、石油精製工程やアンモニア製造工程で、生じる副産物(バイプロダクト)です。副産物として生み出されて、それを回収して再利用できるようにして液化炭酸ガスが作られています。

こうした、出来合いの液化炭酸ガスをCO2スノージェット洗浄装置へ供給して、ノズルから噴霧している事になります。

このプロセスでは、CO2スノージェット洗浄装置が新たに排出する二酸化炭素はありません。だから、CO2スノージェット洗浄装置がカーボンニュートラルにマイナスに働くという事ではないのです。

副産物として生じた液化炭酸ガスを、ただ捨ててしまうのはもったいないので、捨てる前にもう一度 役に立ってもらう ということになります。

また、ノズルから噴霧したCO2スノーの低温(-78.5°)と洗浄効果を、切削加工プロセスへ適用して、切削油やクーラントに代用するテーマもあります。

(参照:クーラントに炭酸ガスを適用!ドライ切削加工の新技術

切削油やクーラントを不要にして、CO2スノーによるドライ切削加工技術を開発することで、地球環境への負荷を低減して、SDGsが目指す持続可能な社会実現に向けて貢献するという視点もあるのです。





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