除電ブラシは、外部電源や圧縮エアーを使用せず、 自己放電の原理を利用して静電気を除去します。 ラミネート・スリット・巻取り・印刷など、 ロールtoロール工程の低コストな静電気対策 にも適しています。
キストエシャリッヒ (KIST+ESCHERICH GmbH)
静電気対策
除電ブラシは、 外部電源や圧縮エアーを使用せず、帯電したワークの静電気を除去する自己放電式の除電器 です。
紙・フィルム・樹脂・ガラスなどの帯電したワークに対して、 ブラシを直接接触させるのではなく、 ワーク表面から数mm離して非接触で設置 します。 除電ブラシ本体はアースへ接地して使用します。
帯電したワークを除電ブラシへ近づけると、
ブラシ先端部に強い電界が生じ、
自己放電(コロナ放電)
が起こります。
この作用によって周囲の空気がイオン化され、
帯電したワークの電荷を中和していきます。
除電ブラシを正しくアースへ接地することで、
外部電源を使用せずに静電気を除去
できます。
※左右にフリックしてご覧いただけます。
除電ブラシは、 電源ユニットや圧縮エアーを必要としません。 ブラシ本体をアースへ接地し、帯電したワークの近くへ設置するだけのシンプルな除電方式です。
大がかりな設備を追加せずに導入できるため、 「まずは低コストで静電気対策をしたい」 という製造工程にも適しています。 紙・フィルムなどのロールtoロール工程をはじめ、さまざまな製造ラインへ組み込みやすい除電方式です。
除電ひも・除電テープも、除電ブラシと同様に 紙・フィルム・箔・ガラス繊維・ガラスクロスなどのロールtoロール工程 で使用される自己放電式の静電気対策です。
除電ひも・除電テープを設置する際に重要なのが、 たるませず、適切に張って設置すること。 たわみが大きいと、走行する紙やフィルムへ接近し、巻き込みにつながる可能性があるため注意が必要です。
紙・フィルムには接触させず、 基材表面から数mm離した位置に非接触で設置。 基材との距離を近づけて除電効果を得ながら、ワークへの接触や巻き込みを避ける設置が可能です。
ACイオナイザは、電源から高電圧を供給してイオンを生成し、 帯電したワークの静電気を中和する方式です。 エアー式のACイオナイザでは、 電源に加えて圧縮エアーも使用 します。
一方、除電ブラシは自己放電の原理を利用するため、 除電のための外部電源も圧縮エアーも必要ありません。 工場内に複数本設置する場合でも、除電のための電力や圧縮エアー消費を増やさずに静電気対策ができます。
ただし、ACイオナイザには 強く帯電したワークや、除電対象との距離を確保したい用途などに適した機種 があります。 必要な除電能力、搬送速度、設置距離などに応じて、除電ブラシとイオナイザを使い分けることが重要です。
「除電ブラシ」という名前から、 ブラシの毛をワークへ接触させて静電気を除去する と思われることがあります。 しかし、この除電ブラシはワークをこするブラシではありません。
ブラシ繊維がワーク表面をこすらないため、 紙・フィルムなどの走行基材に傷や擦れを与えにくい ことも特長です。 ロールtoロール工程では、走行する基材へ接触させずに連続して除電できます。
除電ブラシは、紙・フィルムなどのロールtoロール工程をはじめ、 印刷、樹脂加工、部品製造など、 静電気による貼り付き・重なり・ホコリ付着・加工トラブル の対策に使用できます。

製造現場の静電気対策には、 除電ブラシのほか、 除電ひも・除電テープ、ACイオナイザなどがあります。 どの方式が適しているかは、 帯電量・搬送速度・設置距離・設備条件 によって異なります。
| 比較項目 | 除電ブラシ |
除電ひも 除電テープ |
ACイオナイザ |
|---|---|---|---|
| 外部電源 | 不要 | 不要 | 必要 |
| 圧縮エアー | 不要 | 不要 |
機種による エアー式は必要 |
|
除電のための エネルギー消費 |
なし | なし | あり |
| 設置方法 |
フレームを固定 +アース接地 |
たるまないよう 張って設置 |
本体固定 +電源接続 |
| たわみにくさ |
◎ 剛性のあるフレーム |
△ 張り方に注意 |
◎ 固定式 |
|
ロールtoロール工程での 巻き込みリスク |
低い |
注意が必要 たわみ・緩みに注意 |
低い |
| ワークへの接触 | 非接触 | 非接触で設置 | 非接触 |
| 強い帯電への対応 | ○ | △~○ | ◎ |
| 離れた位置からの除電 |
△ 近距離設置向き |
△ 近距離設置向き |
◎ |
| 導入コスト | 比較的低い | 低い | 比較的高い |
| 向いている用途 |
ロールtoロール・近距離での シンプルな除電 |
低コストで シンプルな除電 |
強い帯電・高速搬送・ 距離が必要な用途 |

ロールtoロール製造工程では、紙・フィルムがガイドロールを介して走行したり、
ロールから剥離したりすることで静電気が発生します。
除電ブラシは、
静電気が問題になる工程の直前に設置する
のが基本です。
代表的な2つの設置例をご紹介します。
紙・フィルムがガイドロールを介して走行すると、 摩擦や剥離によって静電気を帯びることがあります。 帯電した状態のまま巻き取ると、 巻取りロールに静電気が蓄積 する原因になります。
巻取り直前に除電ブラシを設置し、 紙・フィルムの静電気を除去してから巻き取る ことで、ロールへの静電気の蓄積を抑えます。
ロールtoロール工程では、搬送中に帯電した紙・フィルムが そのまま印刷機や加工機へ入ることで、 静電気が加工や搬送へ悪影響を与える 場合があります。
加工機や印刷機の直前に除電ブラシを設置して、 ワークを除電してから加工工程へ送り込む 使い方です。
除電ブラシの原理や選び方、静電気の基礎、実際の応用事例について詳しく解説しています。
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