
自動車部品の塗装前処理を改善|フレーム処理機FTS201DRso導入で品質安定化・投資を1年で回収|大手自動車メーカー一次サプライヤー導入事例
自動車部品の塗装前処理工程を担う大手自動車メーカーへの一次サプライヤー(従業員301〜1,000名)が、プライマー工程に起因する三つの課題――塗装密着不良による品質ばらつき、有機溶剤管理コストの増大、作業者の健康リスク――を抱えていました。ケー・ブラッシュ商会はArcotec社製フレーム処理機「FTS201DRso」を提案。機械制御の高信頼性とデジタル流量管理を組み合わせたハイブリッド設計により、均一な表面活性化処理と異常の即時検知を実現しました。導入後は設備投資を約1年で回収。塗装品質の安定化と再加工工数の削減、プライマー工程の大幅削減による作業環境改善も同時に達成し、品質・コスト・安全性の3軸で明確な成果を生み出した事例です。
顧客情報・概要
導入前の課題
プライマーに含まれる有機溶剤への継続的な曝露は、作業者の健康面に対するリスクとなっていました。法規制の強化に伴い、換気設備の維持・保護具の管理・VOC排出量の管理など安全衛生上の対応負担が年々増大しており、カーボンニュートラルへの取り組みとも相まって、プライマー使用量の削減が経営の最優先課題となっていました。
PP樹脂は表面エネルギーが低く、そのままでは塗料や接着剤が密着しにくい素材です。プライマーを使用しても、バンパーのような複雑な3次元形状の大型部品では部位によって塗布量や乾燥状態にばらつきが生じやすく、塗装密着不良・接着不良のリスクを安定的に排除できていませんでした。
プライマー液の定期購入・廃液処理・保管設備の維持にかかるコストが生産コストに恒常的に上乗せされていました。また、塗装密着不良による再加工・廃棄ロスのコストも加わり、生産ライン全体の収益性を圧迫する構造となっていました。
製品の選定・提案内容と当社を選んだ理由
■ 表面処理方式 比較表
| 評価項目 | プライマー処理(従来) | コロナ処理 | プラズマ処理 | フレーム処理 FTS201DRso |
|---|---|---|---|---|
| 大型3次元形状への均一処理 | △ 部位により処理ムラあり | ✕ 平面のみ | △ 形状制限あり | ◎ ロボット連携対応 |
| 有機溶剤の使用 | ✕ 使用あり | ◎ なし | ◎ なし | ◎ なし |
| 自動搬送ラインとの連携 | ✕ 困難 | △ 条件あり | △ 条件あり | ◎ 対応 |
| 処理条件のデジタル管理 | ✕ なし | △ 機種による | △ 機種による | ◎ リアルタイム監視 |
| ランニングコスト | ✕ 高い | ○ 低い | △ 中程度 | ◎ 約20円/㎡ |
| 処理効果の安定性 | △ 条件管理が複雑 | △ 電極劣化あり | △ ガス管理必要 | ◎ 高速時も安定 |
バンパー等の大型ワークは処理ムラが品質不良に直結するため、安定した炎制御による均一な表面活性化が最優先条件でした。コロナ処理は平面のみ対応で除外し、プラズマは形状制限があり不採用としました。フレーム処理のみが条件を満たしました。
有機溶剤を使用しない処理方式への転換によって、VOC管理コスト・廃液処理コスト・健康リスクをゼロに近づけることを要件に設定しました。
既に稼働している自動搬送ラインに支障なく導入でき、量産ラインの安定稼働と品質の再現性確保を両立できる設備であることが、導入の最終的な決め手となりました。
▍ご提案製品
国内の自動車部品製造ラインに多数採用されているハイブリッド型フレーム処理機です。機械制御の信頼性にマスフロー流量計によるデジタル管理を組み合わせ、処理条件のリアルタイム監視と異常アラーム出力を一台に集約しています。消耗部品が少なくランニングコストが低いため、導入後の安定稼働が保証される設計は、品質要求の厳しい量産現場から高く評価されています。
製品の主な特長:
1. 機械制御×デジタル管理のハイブリッド設計――シンプルで故障リスクが低い機械制御に、マスフロー流量計を追加搭載。処理条件をデジタルで表示・記録できます。
2. リアルタイム異常検知――流量に異常が発生した瞬間に外部機器へ信号を出力。不良品の大量発生を未然に防ぎます。
3. ロボットアーム対応バーナー(MB-3シリーズ)――高速移動時でも炎が安定するスリースロット構造。複雑な3次元形状への均一処理が可能です。
▍当社を選んだ理由
導入で準備したこと・苦労したこと
設置スペースの確保・搬送経路の変更・周辺設備との干渉確認は、お客様の設備担当者が主導して対応。当社は機器仕様・設置条件に関する技術情報の提供とアドバイスでサポートしました。
大型部品の凹凸・曲面形状に対して均一な処理が得られるよう、炎の距離・移動速度・バーナー角度を繰り返し調整しました。実ワークを用いたサンプルテストを複数回実施し、量産条件を確定させました。
フレーム処理機の操作・日常点検・異常対応の手順を社内マニュアルに落とし込み、オペレーター教育を実施しました。デジタル表示による条件の見える化によって、担当者が変わっても品質が安定する仕組みを構築しました。
導入・支援後の成果
利用ユーザーの声・お客様のコメント
大型樹脂部品への処理ムラが改善され、品質が安定しました。自動化によって作業負荷も軽減され、生産ライン全体が安定稼働しています。消耗部品が少ないため、導入後のランニングコストを想定内に抑えられている点も現場として大きなメリットです。
従来のプライマーは有機溶剤を含むため、使用量管理・保管管理・安全対策に毎日気を使っていました。フレーム処理機に切り替えてからはその負担がほぼなくなり、現場から「安心して作業できるようになった」という声が上がっています。品質改善だけでなく、働く環境の改善効果も非常に大きいと実感しています。
FTS201DRsoの導入によって、品質安定化・生産性向上・作業環境改善の三つを同時に実現できました。導入前のデモテストで効果を数値で確認できたこと、量産立ち上げまで丁寧に伴走いただいたことが、現場担当者も含めた安心感につながりました。現場からは「管理がしやすくなった」「職場が安全になった」という声が上がっており、経営・現場の両面で大きな手応えを感じています。引き続き新たな課題についても相談させていただきたいと思います。
今後の展望
短期目標(〜1年):フレーム処理機の処理データを生産管理システムと連携させ、条件の履歴管理と異常の予兆検知を実現します。品質トレーサビリティの強化によって、顧客への品質保証レベルをさらに高めていきます。
中長期目標(1〜3年):導入による効果を検証した上で、他製品への水平展開が可能か確認していきます。有機溶剤使用量のさらなる削減を経営目標として掲げており、フレーム処理技術はその実現手段として位置づけられています。継続的に新技術を検討しつつ、次なる改善ステップを着実に進めてまいります。
※ 設備投資の約1年回収は本導入事例における実績値です。効果は設置環境・使用条件・部品仕様等によって異なります。詳細はお問い合わせください。
※ 会社名はプライバシー保護のため非公開としています。
※ ランニングコスト(約20円/㎡)はガス代の試算値です。電気代別途0.1〜2円/㎡程度かかります。


