金属粉末の塊は、固体金属とは異なり、多孔質で小さな気孔が点在しております。これは、外部からの空気汚染に対して無防備な状態です。このような金属粉末の塊は、空気中の酸素・窒素・水分などが内部に透過して 粉末と反応することにより汚染する恐れがあります。金属粉末の品質を保持するためには、アルゴンガスや窒素ガスなど、高純度不活性ガス雰囲気下で取り扱う必要があります。
Inertが制作する金属粉末用の密封設備は、作業者の安全を保ちながら金属粉末を簡単に取り扱うために特別に設計されています。金属3Dプリンター（金属積層造形・付加製造）のように、粉末金属材料の品質が重要な用途でも高純度の不活性ガス雰囲気を用意することができます。
金属3Dプリンターでは、焼結レシピによりチタン・アルミ・コバルト・ニッケルなどの金属粉末材料を使用します。一回の造形で使用されなかった粉末は、再利用することができればコスト削減につながります。また、粉末の球形状、粒径は造形時の品質に影響を及ぼします。そして、粉末をリサイクルする搬送・供給プロセスでは、粉末の流動性、安定した粒度分布が必要です。歩留まり低減を回避して、粉末の再利用率を向上させるために、これらのパラメーターを考慮して、リサイクルプロセスの設計が行われます。
Inertは、このような粉末ハンドリングが必要な各工程に、高純度の不活性ガスを供給するシステムとグローブボックスによるソリューションをご提案いたします。
|| ガスマネージメントシステム
ガスマネージメントシステムは、密封容器のアルゴンガス・窒素ガスを循環精製して、リサイクルする装置です。接続する密封容器の大きさによりラインナップを豊富に取り揃えています。ガスマネージメントシステムのラインナップをみる。
超低水分濃度の不活性ガス雰囲気下で粉末を取り扱うことは、粉末の流動性を向上させることにつながります。そして、水分は水素の放出源になり、水素は水素脆化の原因になり得ます。この意味で低水分濃度の不活性ガス雰囲気は残留応力の低減につながります。ガスマネージメントシステムは不活性ガスを循環精製して超低酸素・水分濃度の高純度不活性ガスを密封容器や粉体搬送系へ供給します。金属粉末の流動性を向上し、3Dプリンターへスムーズに粉末供給するのに大変効果的です。
|| 粉末を取り扱う器具
硬化炉、粉末トラップ、自動ふるい機、金属粉末回収用容器、など金属粉末を適切に取り扱うため様々なオプションがございます。
密封容器への粉末挿入/取り出し用に、カスタムアンテチャンバーがございます。
|| グローブボックスで造形した部品をフラッシング
造形直後の部品には、多量の粉が付着しているので、表面から取り除く必要があります。ブラシやはけを使う方法の他、不活性ガスを加圧してガンでフラッシングすることもあります。いづれの場合でも作業はグローブボックスのような密封容器内で行います。グローブボックスが、作業者を金属粉末から隔離して安全を確保します。そして、取り除いた粉は再利用するので、粉を回収するまで不活性ガス雰囲気下で取り扱います。
粉末を密封容器内で隔離することは、作業者の安全のためだけでなく、周囲の電子機器への損傷を回避することにもつながり、またチタン粉末の粉塵爆発のリスク回避することになります。
このような粉末除去の工程には、Inert アルゴン-2 ガスマネージメントシステムを用います。ガスマネージメントシステムは、アルゴンまたは窒素ガスを循環精製して、酸素・水分・ダスト・有機物などを取り除き、高純度不活性ガスを供給します。
|| 分粒装置（ふるい機）
金属粉末を密封系で安全に、そして自動で分粒する装置です。
〇不活性ガス雰囲気下で粉体制御
分粒は密封系で不活性ガス雰囲気下で行われます。
〇処理量
処理量は＞120kg/時間。搬送中の粉末の固着を防いで安全に分粒し、3Dプリンターや粉末保存容器へ供給します。
〇操作
操作はタッチパネル上で行います。（不活性ガスのパージ・粉末の重量計測・分粒の設定・粉末供給・装置を自動洗浄）
〇迅速な洗浄サイクル
工具不要の自動洗浄プロセス機能があります。粉体の交換/切替時にとても便利です。
|| 高品質な部品造形と作業者の安全
密封容器を用いることにより、粉末と不活性ガスを外部から遮断することができます。これにより粉末の品質劣化を防ぐことができ、作業者の安全を確保することにつながります。
金属3Dプリンターで用いる粉末の粒径は、10μm～100μmです。吸引暴露すれば気管支・呼吸器へ影響を及ぼすので、作業者の安全のためにも密封容器は重要です。
