
目次
窒素について
窒素ガスマネージメントシステムの原理
窒素ガスマネージメントシステムの特徴
窒素ガスマネージメントシステムのオプション
窒素ガスマネージメントシステムの用途
SDGsが目指すゴールに貢献
関 連 情 報:
窒素について
大気は、窒素(N2)が78%、酸素21%、アルゴン他1%で構成されています。常温では、窒素は三重結合して窒素分子(N2)として存在しています。
三重結合で強固に結合しているので、窒素分子は他の物質との反応性が極めて低く、不活性です。
高純度の窒素ガスは、空気から不純物を人工的に取り除いて製造します。ピュアな窒素ガスは、半導体の酸化防止、リチウムイオン二次電池の水分との反応防止や、その他 酸素・水分と反応しやすい原材料を取り扱う化学・製薬用途、食品包装等 様々な用途で使用されています。
常温では不活性で無害な窒素N2ですが、窒素化合物は地球の環境汚染をもたらす問題を引き起こします。
例えば、エンジン車の排ガスには、窒素化合物(NO、NO2)が含まれており、排ガスは、大気汚染の原因になります。
一酸化二窒素(N2O)は温室効果ガスの一つに挙げられる窒素化合物です。世界では、「カーボンニュートラル」を掲げて炭素を含む温室効果ガスに目を向けていますが、一酸化二窒素(N2O)のような炭素を含まない温室効果ガスもあるのです。
一酸化二窒素(N2O)は、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)と比べ、相対的に量は少ないですが、温室効果は二酸化炭素の300倍あると言われてます。このような窒素化合物が環境に大きな影響を及ぼしています。
そして、農業で使う肥料に含まれているアンモニア等の窒素化合物は、水質汚染・大気汚染を引き起こしています。
このように、
人工的に作られた窒素化合物が増えすぎて、地球環境に様々な悪影響を及ぼしています。私たちは日常の中で、窒素は暮らしに大きく関わっています。
窒素ガスマネージメントシステムの原理
ユーザー様の密閉容器と窒素ガスマネージメントシステム間の接続は、SUS配管2本(INとOUT)で接続します。
写真:右下にガスマネージメントシステム/グローブボックスと接続
窒素ガスマネージメントシステムには、酸素・水分を吸着する触媒を収納したカラム(精製筒)を搭載しており、密閉容器・配管INから流れてくる窒素を精製筒へ送ります。
そして、不活性な窒素(N2)ガスが含有してる酸素・水分を触媒に吸着させてトラップして、窒素ガスを低酸素・低露点にします。低酸素・低露点になった窒素ガスは、配管OUTから密閉容器へ送り返します。
この循環プロセスを連続で行い、窒素ガスを循環・精製して使用することが出来ます。
ガスマネージメントシステムの動画:
(動画はアルゴンガスマネージメントシステムですが、循環精製の原理はチッソガスでも同じです)
ガスマネージメントシステムの詳細をみる
窒素ガスマネージメントシステムの特徴
窒素ガスマネージメントシステムを接続した密閉容器・グローブボックスは、
窒素を流しっぱなしにするパージ式システムと比べて、窒素の消費量は極めて低くなります。エネルギー効率が高く、窒素ガスのランニングコストを大幅に低減することにつながります。
システムの運転は、タッチスクリーン上で行います。ニューマチックバルブ・電磁弁・ブロア・真空ポンプ・内圧の上下限設定値入力は、タッチパネルで操作します。
オプションの酸素濃度計・水分濃度計を搭載したシステムでは、濃度(ppm)をタッチスクリーン上でモニタリングできます。
触媒が飽和した時は、再生ガスを使用して、再生して再び使えるようにします。この再生手順は、予め設定された再生プロセスに沿って自動運転で行われます。
ガスマネージメントシステムの詳細をみる
窒素ガスマネージメントシステムのオプション
◆ジルコニア式酸素濃度計(揮発性有機溶媒を使う用途には適してません)
◆電気化学式酸素濃度計(揮発性有機溶媒を使う用途には適用できます)
◆水分濃度計
◆ヘリウム濃度計(窒素雰囲気下)
◆揮発性有機溶媒センサー
◆熱交換器(配管設置用/冷却水18L/minで約1000Wの冷却容量)
◆ドライポンプ(標準はロータリーベーンポンプです)
◆揮発性有機溶媒トラップ
ガスマネージメントシステムの詳細をみる
窒素ガスマネージメントシステムの用途
◆金属3Dプリンター(メタルAM/金属積層造形)
◆リチウムイオン二次電池
◆OLED
◆半導体
◆薄膜太陽電池
◆化学・高分子
◆医療・製薬
◆航空機用部品
◆自動車用部品
◆原子力
ガスマネージメントシステムの詳細をみる
SDGsが目指すゴールに貢献
SDGs(Sustainable Development Goals / 持続可能な開発目標)は、2015年9月に国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載されています。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す17のゴール・169のターゲットから構成された国際目標です。
SDGsには、つぎのような目標と、それを実現するためのアプローチが記載されています。
SDGs ゴール7:
エネルギーをみんなに そしてクリーンに
ターゲット 7.3:
2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
SDGs ゴール9:
産業と技術革新の基盤をつくろう
ターゲット9.4:
2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。
ゴール7は、すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保することを目標にしており、エネルギーを無駄なく効率よく使う取り組みは、ゴール7と大きく関連しています。
ゴール9は、2030年までに、資源をよりむだなく使えるようにし、環境にやさしい技術や生産の方法をより多く取り入れて、インフラや産業を持続可能なものにすることを目標にしています。
そして、
窒素ガスマネージメントシステムは、人工的に製造したピュアな窒素ガスを、効率よく・循環・リサイクルするためのシステムです。窒素ガスのリデュース、リユーズ、リサイクルにつながります。これは、SDGs ゴール7・ゴール9が掲げるゴールと大きな関連性があります。
窒素は、空気の78%を占める気体です。身の回りに豊富にある窒素ですが、産業用途で使えるようにするためには、不純物を取り除いてピュアな窒素ガスにする製造プロセスを経て作られています。人工的に窒素ガスを製造するプロセスは、エネルギーを大量に消費します。だから、窒素ガスを無駄なく効率良く使うことには大きな意味があります。