フラックス残渣をCO2スノーでドライ洗浄 │ PCB製造工程ではんだ付け後のフラックス残渣を、CO2スノーでドライ洗浄する方法をご紹介します。CO2スノードライ洗浄は、ドライなので乾燥不要です。基板へのダメージフリーで洗浄します。IPAや炭化水素系のような溶剤は使用しません。洗浄工程が小スペース化します。

2020/04/08

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|| フラックス塗布後は洗浄が必要です
|| CO2スノージェット洗浄装置のメリット
|| 他のフラックス洗浄方法との比較
|| CO2スノーの洗浄のメカニズム
|| 関連情報

取扱商社：㈱ケー・ブラッシュ商会

　　

フラックス塗布後は洗浄が必要です

フラックスは、はんだ付けを促進するための化学物質です。
フラックスの目的は、基板のランド表面の酸化膜や付着異物を除去すること、はんだの表面張力をさげて濡れ性を上げること、はんだ付け後のはんだ表面の酸化被膜形成を防ぐことです。

はんだ付けした後は、フラックスの残渣が残ります。

フラックスの残渣は、空気中の水分と反応するとフッ化水素酸を形成します。そして、接合部を腐食させたり、接合不良を引き起こすので、デバイス性能を劣化させる原因になります。

このため、アッセンブリやパッケージング工程の前に、フラックスの残渣を洗浄するプロセスが必要になります。

写真：CO2スノーで、はんだ接合部をドライ洗浄

CO2スノージェット洗浄装置のメリット

CO2スノージェット洗浄装置は、ブラストメディアとして液化炭酸ガスを使用します。二酸化炭素の物理的・化学的・熱的な力を利用して、ドライ洗浄します。

洗浄装置のノズルから噴霧するCO2スノーは、毒性が無く　不燃性です。CO2スノージェット洗浄で、はんだ付け後のフラックス残渣をドライ洗浄するのに適しています。

ノズルから噴霧された液化炭酸ガスは、表面に衝突すると昇華します。これにより、表面の汚染物や小さな微粒子は冷やされて脆化して、昇華の力で表面から取り除かれます。この洗浄はフラックス残渣にも高い効果を発揮します。CO2スノーの硬度はとても小さいので、接合部や母材のPCBへダメージを与えずにドライ洗浄することができます。

CO2スノーで洗浄後の表面はドライに仕上がります。水滴や結露が無いので、洗浄後に乾燥工程は不要です。

超音波洗浄や薬品を使用する湿式ウェット洗浄とも異なりますので、液体の循環精製や廃液処理の問題は皆無です。

基板や電子部品のような、”製品”の洗浄はACP社の洗浄装置に適した用途です。

ACP systems AG 社が開発したドライ洗浄技術は、電子部品の生産ラインで自動洗浄する使用方法に適しています。CO2を放射するノズルをロボットで操作してはんだ付けした部位をドライ洗浄する使用方法が可能です。ロボットがCO2のノズルを運転するスペースだけが洗浄エリアになりますので、フラックス洗浄工程が小スペース化します。

他のフラックス洗浄方法との比較

～溶剤（炭化水素）との比較～

炭化水素系溶剤でフラックスを洗浄した後は、乾燥させる必要があります。洗浄用の容器に洗浄液を常に準備します。洗浄液はモニタリングして、フラックスで汚れたら交換します。リンス後の廃液処理や作業負担が発生します。

一方、CO2スノードライ洗浄装置は、洗浄後の表面はドライに仕上がるので、乾燥は不要です。

～ドライアイスブラストとの比較～

ドライアイスブラストでは、噴霧する氷の粒の衝撃が大きいので基材へのダメージを考慮する必要があります。ブラストの圧力を絞ると、今後はブラストの再現性を制御するのが難しくなるので、連続運転で基板を自動で洗浄するとなると、歩留まりの問題が大きくなります。

CO2スノージェット洗浄装置は、ユーティリティーにドライアイスを使用しません。ドライアイスの保守管理の手間は無く、使用するタイミングでドライアイスを発注するような手間はありません。

　CO2スノージェット洗浄装置は、ユーティリティーに液化炭酸ガスを使用します。ボンベ（サイホン式）またはタンクです。ACP社が開発した液体CO2のハンドリング技術で、ノズルから噴霧する CO2スノーは高い再現性があります。製造ラインで基板のような電子部品の洗浄の自動化に最適です。

CO2スノージェット洗浄装置の洗浄のメカニズム

1 　CO2スノーの衝撃で洗浄

　CO2スノーを加速させて基材に衝突することにより、マイクロブラスト効果があります。

2 　急速冷却

　低温のCO2スノーが汚染物を急速冷却して脆化させます

3 　CO2スノーの膨張エネルギーで洗浄

　昇華によりCO2の体積が600～800倍に膨張。膨張する時のエネルギーで表面を洗浄します。

4 　溶剤効果

　シクロヘキサンと同等の溶剤効果で表面を洗浄します。