1. HOME
  2. お役立ち情報
  3. 表面改質装置
  4. 【プラズマ処理とは】原理・処理機の種類・他の処理との違い

【プラズマ処理とは】原理・処理機の種類・他の処理との違い

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
【プラズマ処理とは】原理・処理機の種類・他の処理との違い
📋 クイックサマリー:プラズマ処理の基礎知識

プラズマ処理の基礎知識をスピーディーに確認いただけます。詳細は本編およびカタログをご覧ください。

【原理・効果】
気体をプラズマ化し表面にラジカルを付与。洗浄と官能基形成により、接着・親水性を劇的に向上。
【装置の種類】
手軽な「大気圧型」(スポット・幅広)と、精密・一括処理に適した「真空型」に大別。
【主な用途】
フィルム連続生産、3次元パーツ、粉体など。現代では大気圧プラズマが産業界の主流です。
ケーブラッシュ商会取り扱いの製品仕様はこちら
カタログ(PDF)をダウンロード


関連ブログ

表面処理とは?プラズマの仕組みと親水化の原理

接着性・濡れ性向上のためにプラズマが表面を改質する原理を解説しています。

記事を読む

ケーブラッシュ商会保有デモ機一覧

導入検討に役立つ、表面処理装置のデモ機のラインナップを紹介しています。

記事を読む

フレーム表面処理とは:大型樹脂パーツの表面改質・親水化に最適

大型の樹脂部品向けフレーム表面処理の特徴と、親水化のメカニズムを解説。

記事を読む



はじめに

接着や密着、塗装の前処理としてプラズマ処理やフレーム処理、コロナ処理など様々な種類があります。
このブログでは、プラズマ表面処理に焦点をあてて説明します。

プラズマ処理

プラズマ処理は、コロナ処理と同じように、電気の力で気体(主に酸素)をプラズマ化させ
ラジカルを樹脂などの表面に付与する処理方法です。

プラズマ処理は、真空下で行う低圧プラズマ処理と、大気圧下で行う大気圧プラズマ処理の2種類の方法があります。

プラズマ処理といえば今では大気圧プラズマ処理が一般的になりつつあり、一般的にプラズマ処理と言うと
大気圧プラズマ処理を指す方が多いようです。

真空プラズマ処理も大気圧プラズマ処理も、使用するガスや放電方法の違いにより
設備の形状や用途が異なります。

コロナ処理との違い

そもそも「プラズマ」とは、物質の状態を表す言葉で、「コロナ」とは放電状態を表す言葉です。
コロナを含む様々な放電によって分子をプラズマ化するため、大きな視野でみると
「コロナ=プラズマ」とも考えられます。

実際は、「コロナ処理≒プラズマ処理」なのですが、明確な境界線はなく、少々曖昧です。
プラズマと呼ばれる処理機と、コロナと呼ばれる処理機の間の処理機も存在しています。

一般的な見分け方として「ガスを使用するか、しないか」という考えがあります。
弊社では、「ガス」を介して処理を行う設備はプラズマ処理機、ガスを介さずに処理を行うのがコロナ処理機と
考えておりますが、他メーカー様にはそれぞれの定義があると思うので、参考としてお考え下さい。


プラズマ処理の原理

principle1.png
principle2.png
principle3.png
principle4.png

物質を電離させる、つまりイオンと電子に分離させることによって、プラズマを得ることができます。
電離させるために必要なエネルギーの供給方式により、3つに分けられます。

1:放電  (コロナ処理プラズマ処理
2:熱電離(フレーム処理
3:光電離(UV処理)

 

空気中で放電することにより、空気中の酸素分子が解離し、酸素原子が励起して酸素イオンや
自由電子を含むプラズマが発生します。

発生したプラズマの電子・イオン・ラジカルが基材表面に接触します。
基材表面の分子とプラズマ中のイオン・電子が反応、親水性官能基が生成されます。

表面活性化が行われ、接着性やぬれ性が向上します。
(=分子間力、ファンデルワース力の働き)




なぜ濡れ性があがるのか

プラズマ処理を行うことで濡れ性(親水化)が向上しますが、下記の要因があります。

官能基の付与

ポリプロピレン・ポリエチレンなど特にオレフィン系の合成樹脂は、表面に極性基が無く
接着剤やインクなどに対して 親和性がありません。

放電により放出されたイオンや電子が樹脂表面の分子の化学結合を切断し、樹脂の種類に応じて
親水性の官能基 OH(水酸基)・CO(カルボニル基)・COOH(カルボキシル基)等が生成されます。

官能基が生成されます

表面洗浄

アルコールや溶剤などのウェット洗浄でも落としきれなかった僅かな汚れ(特に有機物)と
放電により放出されたイオンや電子が結合することで分解洗浄されます。

もともとの表面が持っていたエネルギー値を引き出し、そしてその表面が官能基によって
活性化されることでも親水性が向上します。
主に金属へのプラズマ処理では表面洗浄によって濡れ性を引き出します。

プラズマにより有機物が分解されます



 

プラズマ処理機の種類

プラズマ処理機(プラズマ処理装置とも呼ばれる)には様々な方式の物が存在しています。
大きく分けて真空か大気圧か、真空と大気圧でもそこから色々と分岐していきます。

プラズマ処理機とはプラズマを用いて行う様々な処理機の総称です。

プラズマ処理機の分類

スポット型大気圧プラズマ処理

大気圧プラズマ処理と呼ばれると、このタイプのプラズマ処理を想像される方も多いと思います。

主に圧縮空気(窒素なども使用可能)を用いた処理方法で、先端の放電ノズル内で
高圧高周波の放電を行います。

その放電空間を圧縮空気などのガスが通過していく過程でイオンやラジカルへと変化し
最終的にそれらが混在した状態(プラズマ状態)のガスとなり、外部へ放出されます。

PlasmaJet 放電の様子
ランテック社製大気圧プラズマ処理機PlasmaJet

スポット型大気圧プラズマ処理機のメリット
● 高速対応力がある
処理幅に対しエネルギー密度が高いため改質効率が良く、電線やパイプ等の高速搬送物にも最適です。
● 処理対象物を選ばない
プラズマ放電が無電位のため、金属から樹脂、セラミック、紙までほぼ全ての材質に対応可能です。
● 低いランニングコスト
圧縮空気で処理を行うため、アルゴン等の高価な不活性ガスが不要で経済的です。
⚠️ スポット型大気圧プラズマ処理機のデメリット
● 処理幅の制限
ノズル幅が約10mmと狭いため、広幅処理には複数化やスイング機構の検討が必要です。
● オゾン・NOx対策
放電によりオゾン等が発生するため、局所排気や触媒による環境対策が必須となります。
● 熱ダメージの可能性
放電熱が集中するため、極端に低速な処理は避け、適切な搬送速度を維持する必要があります。

派生型

基本的に10mm前後と狭いエリアしか処理ができない欠点を補うため
先端ノズルを回転させることで円の直径分の長さを処理ができるタイプがあります。

また、放電部分を連結させたようなノズル形状にし、複数ノズルを1つのノズルとして
処理幅を確保するタイプもあります。

弊社では回転タイプの派生版、または複数ノズルを1台の発信機で制御する
マルチタイプなどを取り扱っています。

Plasphere回転型ノズル
ランテック社製大気圧プラズマ処理機Plasphere

派生型大気圧プラズマ処理機のメリット
● 広範囲のカバー能力
スポット型よりも広いエリアを1つのノズルでカバーすることが可能です。効率的な面処理に適しています。
⚠️ 派生型大気圧プラズマ処理機のデメリット
● 処理能力(スピード)の低下
プラズマエネルギーが分散するため、単位面積あたりの処理能力が低下します。そのため、高速走行する基材への対応力はスポット型に劣ります。
● 消費電力・出力の増大
より広いエリアをカバーして処理強度を維持するために、スポット型と比較してより多くの出力(電力)が必要となります。

幅広型大気圧プラズマ

幅広型大気圧プラズマ処理機は、光学フィルムや金属箔など表面ダメージを嫌う製品をロールtoロールで処理したい
またはコロナ処理よりも安定してフィルムを処理したいというニーズを満たす設備です。

主に使用するのは圧縮空気ではなく、窒素やヘリウム、アルゴンといった不活性ガスをメインに、
必要に応じて酸素や水素などの反応性ガスを添加して処理を行います。

放電のアノード・カソードを電極内に収納しガスのみを照射することで基材に電気的ダメージを与えない
無電位タイプと、コロナ処理のように処理対象物を挟み込む形状で、その空間内をガスで満たす
有電位タイプに分類されます。

この有電位タイプは、ガスで満たす以外はコロナと非常に類似しているため
ガスコロナ処理と呼ばれていた時期もありました。

幅広型プラズマ処理機ULD
アクシス社製大気圧プラズマ処理機ULD

無電位型

無電位タイプのプラズマ処理機は「リモート型」とも呼ばれることがあります。

高圧を誘電体バリアを通じ印加し放電空間を通過してプラズマ化したガスのみが外部へ照射されるため
ガスに電位がなく導電体へもダメージレスで処理ができるのが特徴です。

弊社が扱うフランスAcXys社の幅広プラズマは、特許取得の特殊構造を有した電極のため
一般的な無電位タイプのプラズマ処理と比べて効率の良い放電が可能となっています。

有電位型

有電位タイプは「ダイレクト型」とも呼ばれる方式です。

無電位のリモート型とは異なり、印加空間と処理エリアが同空間となるため
導電体への処理ができないというデメリットがあります。

コロナ処理のアップグレードとして、より効率的で均一な処理をロールtoロールで
処理ができるというメリットもあります。

弊社では有電位タイプの取り扱いがないため、無電位のプラズマのメリットとデメリットを紹介します。

幅広型大気圧プラズマ処理機のメリット
● フィルム・シートの連続生産に適応
スポット型と異なり、コロナ処理機と同様の感覚でフィルムやシートへの連続処理が可能です。
● ダメージレス・低温処理
無電位タイプは基材に電気が流れないため、基材を傷めません。また温度も低く、熱による変形の心配が非常に少ないのが特徴です。
● 高い処理均一性
電極内部で活性化されたガスを放出する仕組みのため、幅方向に対して均一なプラズマ処理が実現できます。
● 反応ガスの選択による特殊効果
メインの酸素ガス以外に、水素ガスなどを使用することで、目的に応じた異なる改質効果を得ることができます。
● ほぼ全ての材質に対応可能
無電位タイプであれば、樹脂やセラミック、さらにはゴムや金属まで材質を問わず処理が可能です。
⚠️ 幅広型大気圧プラズマ処理機のデメリット
● 導入・運用のトータルコスト
工業用ガスを使用するため、設備費用に加えてランニングコストがかかります。他の処理方法と比較すると高価になる傾向があります。
● 高速処理への限界
コロナ処理機と同様、速度に対する処理効果はそれほど高くないため、超高速処理には不向きです。処理回数を増やす等の検討が必要です。
● 三次元形状への不向き
主にフィルムやシートを想定した設計のため、複雑な立体形状やロボットアームへの搭載には向きません。
● オゾン対策の必須化
放電に伴いオゾンが発生するため、局所排気設備やオゾン分解触媒の用意が必須となります。

真空プラズマ処理

真空プラズマ処理は、処理チャンバー内を真空ポンプで減圧状態にした後に
様々なガスを投入することで処理を行うため、バッチ方式となります。

半導体業界の成長期にメインの処理機として大きく普及した設備です。

現在は大気圧プラズマ処理が一般的になっていますが、真空プラズマ処理でしかできない用途も多くあります。
真空プラズマも使用する周波数によって主な用途が分かれています。

※真空プラズマと呼んでいますが、完全な真空ではなく、極低圧で処理をするプラズマ処理を
 一般的に真空プラズマと呼んでいます。一般的な処理圧力は10-50Pa程度です。

V6G.jpg
ピンク社製真空プラズマ処理機V6G

KHz型とMHz型

KHz型とは、40-100KHzの比較的低い周波数を使用するため、LFとも呼ばれています。
MHz型は、13.56MHzを使用し、RFとも呼ばれています。

LF・RF共に金属製の電極をチャンバー内に有しています。
この二つの周波数は金属電極へ向けてスパッタ効果を発生させる特徴があります。

そのためメタル電極から金属粒子が発生し、チャンバー内に拡散します。
MHzはこの特性を活かしてCVDなどに用いられています。

チャンバー内で自己バイアスが発生するため、電気的に繊細な部品などは
破壊してしまう恐れがあるため、処理をすることができません。

LF・RF共にアルゴンガスを用いる場合は、MWと比べてアルゴンイオンの動力学的エネルギーが
高いというメリットがあります。

 

GHz型

2.45GHzのマイクロ波(マグネトロンやMW)を用いる真空プラズマで
表面処理の用途として一般的に使用されています。

LFやRFよりもプラズマ密度が濃く、空間内が無電位であるため材質を問わず処理が可能です。

また、空間内が均一なプラズマ空間となるため、チャンバー内に入れることができれば
処理がかかるという点が他の周波数と違うメリットです。

しかしマグネトロンでは基本的にスパッタ効果は期待できません。

表面処理用途に用いる真空プラズマは、GHzのマイクロ波プラズマが主流であるため、
そのメリットとデメリットを紹介します。

真空プラズマのメリット
● 処理対象物を選ばない
無電位タイプの場合、樹脂、セラミック、そしてゴムや金属まで材質を問わずに処理可能です。
● 低いランニングコスト
ガスの使用量が少量のためコストを抑制できます。外気(空気)を使用すればガス代をかけずに処理することも可能です。
● 小・中型成形品の一括処理
20〜30mm程度の小型製品を一度に大量処理する用途に最適です。
● 狭い隙間や内側の処理能力
大気圧では届きにくい狭いエリアや複雑な形状の内側まで、均一に処理が行き渡ります。
● 多彩な反応ガスの活用
酸素ガスのほか、水素ガス等を使用することで特殊な改質効果を得ることが可能です。
● 粉体への対応
大気圧下ではハンドリングが困難な粉体も、減圧下で効率よく処理できます。
⚠️ 真空プラズマのデメリット
● バッチ処理による生産ラインへの制限
流れ作業(インライン)には向かず、既存ラインへの組み込みには自動投入・取出装置の設計が必要です。
● 高い初期投資コスト
処理量に対する設備単価が割高になる傾向があります。大型化による効率向上も可能ですが、初期投資が大きくなります。
● 1サイクルあたりの所要時間
セット・真空引き・取り出しといった工程が必要なため、一度の処理でどれだけ多くの量を詰め込めるかが効率化の鍵となります。

 

 

プラズマ処理の用途

プラズマ処理といっても、各方式によって最適なアプリケーションが異なるため
主な用途となる分野をまとめてみました。

ロールtoロールでの処理

主にフィルムや金属箔といった薄い処理対象物表面の親水化、クリーニング用です。

プラスチックフィルムであれば有電位・無電位の両方が応用可能ですが、金属箔や表面ダメージを気にするフィルムには無電位タイプを推奨します。
シートや平らな製品を枚葉の処理

プラスチックシート、発泡製品、金属板など、フラットな表面を処理する場合の構成です。

厚みがある場合でも無電位タイプのプラズマをお使いください。シートの幅によってはスポット型の発展版もご利用いただけます。
小面積の処理

処理幅が主に10mm程度の場合は、スポット型の大気圧プラズマ処理機をお選びください。

電線やケーブル、樹脂製品の封止用接着剤塗布の前処理など、処理エリアが限られる場合に適しています。
中面積の処理

スポット型では対応できない幅、50mm前後には派生型をお選びください。

派生型ノズルを複数組み合わせれば、100mmを超える幅も処理可能です。
粉体の処理

樹脂や金属の粉を処理することも可能ですが、量産を考慮すると真空下での処理が合理的です。

1度に10kg前後(PEパウダー)処理が可能な設備を取り扱っております。金属・セラミック・樹脂など、多様な粉体への挑戦実績がございます。

最後に

広く知られている「プラズマ処理」という言葉が用いられる設備でも、実は様々な方式があり
各設備に得意分野が存在しております。

プラズマ処理を検討したけど使えなかったという結論が出た場合でも、実は異なるプラズマなら
しっかりと対応できるケースがあります。

貴社のアプリケーションに応じて適切な設備を紹介させていただきますのでお気軽にお声がけください。
弊社所有のデモ機であればサンプル作成も常時受け付けております。

また、弊社にはプラズマ以外の処理装置も多数ございます。
合わせてご検討いただければ幸いです。

プラズマ処理をはじめ、各種表面処理装置を導入することで、脱プライマー・脱溶剤といった
作業環境や作業効率の改善、そして自然環境を配慮したモノづくりへの転換を図ることができます。

表面処理を導入し、SDGsの下記目標を達成しましょう。

表面処理の導入によるSDGsへの貢献

プラズマ処理などの表面処理装置の導入は、脱プライマーや脱溶剤といった改善を通じて、作業環境や効率を改善し、持続可能なモノづくりへの転換を図ります。

目標 3:すべての人に健康と福祉を

(ターゲット 3.9) 有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

目標 8:働きがいも経済成長も

(ターゲット 8.2) 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

目標 9:産業と技術革新の基盤をつくろう

(ターゲット 9.4) 資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。

目標 12:つくる責任 つかう責任

(ターゲット 12.4) 環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

お問い合わせ

製品サービス内容に関するご質問やご不明な点などお見積りがありましたら、こちらよりお問い合わせください。