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表面処理とは? プラズマの仕組みと親水化の原理

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表面処理とは
30秒で解説 表面処理とは?

表面処理とは、プラスチック・ゴム・金属などの素材表面にプラズマやフレーム処理を施し、接着性・親水性・濡れ性を化学的に向上させる技術です。薬品を使わないドライプロセスのため、脱プライマー・脱溶剤が可能で、製造現場のSDGs対応にも貢献します。

ポイント 内容
目的 接着性・親水性・濡れ性の向上、有機物の除去
主な処理方式 プラズマ処理・フレーム処理・コロナ処理・UV処理
対応素材 プラスチック(PP・PE等)・ゴム・金属・ガラス
最大の特徴 薬品不使用のドライプロセス。脱プライマー・脱溶剤が可能
主な導入業種 自動車・電子部品・半導体・医療機器・印刷・包装


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表面処理装置の種類

表面処理の目的

表面処理を大きな範囲で見てみるとメッキやDLCなどの加工技術も含まれますが、ケー・ブラッシュが扱う表面処理は、プラスチックやゴム、金属表面の有機物クリーニングや接着性などの親水性を向上させることを目的としたプラズマ処理などを指しています。

この親水性を目的とした処理をさらに細分化すると、2種類の方法に分類できます。

①薬品やブラストなどを用いて物理的に表面状態を変化させ、表面積を増やす事で物理的な接着効果(アンカー効果)を狙った処理方法。(※一部の表面処理でも同じような効果を狙った処理があります)

 

大気圧や真空などのプラズマ処理やUV処理、フレーム処理など官能基によって科学的結合を変化させて接着効果、密着効果を狙った処理方法。

ケー・ブラッシュでは②番の設備をメインに扱っております。

コロナ・フレーム・プラズマ処理の違いは何か?

ケー・ブラッシュ商会が扱っているコロナ処理プラズマ処理フレーム処理などの全ての処理装置は、基材表面を化学的に改質することを目的としています。

呼び名は違いますが、実は全てプラズマに関係しています!

 

そもそもプラズマとは?

この世にある全てのものは、原子と呼ばれる、非常に小さな粒の集まりによってできています。
この原子は、原子核とその周りを回っている電子から成っていて、さらに原子核は、プラスの電荷を持つ陽子と、
電荷を持たない中性子から成り立っています。

物質は原子から成り立っています

物質にエネルギーを与えつづけると、温度が上昇し、固体から液体、液体から気体になりますが、さらにエネルギーを供給し続けると、気体の分子が離脱して原子になり、原子核の周りを回っていた電子が離れ、プラスの電荷を持つイオンとマイナスの電荷を持つ電子に分かれます。

このように、分子がイオンと電子に分かれている状態をプラズマといい、物質の第4の状態とも呼ばれています。

 

自然界ではオーロラ・稲妻・太陽などがプラズマです。
宇宙を構成する物質の99%以上がプラズマであると言われています。
人工のプラズマは、放電現象として、蛍光灯などの照明器具やプラズマ処理機などの加工技術として利用されています。

太陽はプラズマの身近な例

太陽

稲妻もプラズマの一種

稲妻

オーロラはプラズマ現象

オーロラ

プラズマはどうやって発生するのか?

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物質を電離させる、つまりイオンと電子に分離させることによってプラズマを得ることができます。電離させるために必要なエネルギーの供給方式により3つに分けられます。

1:放電  (コロナ処理プラズマ処理
2:熱電離(フレーム処理
3:光電離(UV処理)

 

空気中で放電することにより、空気中の酸素分子が解離し、酸素原子が励起して 酸素イオンや自由電子を含むプラズマが発生します。 発生したプラズマの電子・イオン・ラジカルが基材表面に接触します。 基材表面の分子とプラズマ中のイオン・電子が反応、親水性官能基がプラスチックやゴム表面に生成されます。 表面活性化が行われ、接着性やぬれ性が向上します。 (=分子間力、ファンデルワース力の働き)

なぜプラズマ処理で親水性が向上するのか?

官能基の付与

ポリプロピレン・ポリエチレンなど特にオレフィン系の合成樹脂は表面に極性基が無く、接着剤やインクなどに対して 親和性がありません。

放電により放出されたイオンや電子が樹脂表面の分子の化学結合を切断し、樹脂の種類に応じて親水性の官能基 OH(水酸基)・CO(カルボニル基)・COOH(カルボキシル基)等が生成されます。

主な官能基の種類

名称 構造 一般式 化合物の名称 性質
水酸基
(ヒドロキシ基)
R―O―H R-OH アルコール
フェノール
エタノール
(C₂H₅OH)
中性〜弱酸性。水素結合により水に溶けやすい。親水性・接着性を付与。
カルボニル基  O

R―C―R'
R-CO-R' アルデヒド
ケトン
アセトン
(CH₃COCH₃)
中性。極性が高く濡れ性を改善。溶剤として広く使用される。
カルボキシル基  O

R―C―O―H
R-COOH カルボン酸 酢酸
(CH₃COOH)
酸性。水に溶けやすく、接着剤・塗料との化学結合を促進。強い密着性を付与。
アミノ基  H
 |
R―N
 |
 H
R-NH₂ アミン アニリン
(C₆H₅NH₂)
塩基性。窒素プラズマ処理で生成。化学結合による密着性を向上させる。
エポキシ基   O
 ╱ ╲
R―C―C―R'
R-C₂H₂O-R' エポキシ化合物 エポキシ樹脂
(ビスフェノールA型)
中性〜弱反応性。開環反応により接着剤・コーティング材との反応性が高い。
エーテル結合 R―O―R' R-O-R' エーテル ジエチルエーテル
(C₂H₅OC₂H₅)
中性。化学的に安定で反応性が低い。溶剤・抽出剤として使用。水にやや溶けにくい。
エステル結合  O

R―C―O―R'
R-COO-R' エステル 酢酸エチル
(CH₃COOC₂H₅)
中性。加水分解でカルボン酸とアルコールに分解。塗料・接着剤・香料の原料。
ニトロ基  O⁻
 |
R―N⁺
 |
 O
R-NO₂ ニトロ化合物 ニトロベンゼン
(C₆H₅NO₂)
中性〜弱酸性。強い電子求引性を持ち、反応性が高い。還元によりアミノ基に変換可能。染料・火薬・医薬品の原料として使用。

※生成される官能基の種類は、使用するガス・処理方式・素材の組み合わせによって異なります。R・R'は炭化水素基を示します。

 

表面処理で接着性が向上する仕組みとは?


表面洗浄、有機物除去によるクリーニング効果

プラズマ中で物質は非常に活発でエネルギーが高く、他の分子と容易に反応する性質になっています。この性質を利用し、金属やプラスチック、ゴム表面上の有機汚染物質の洗浄を行います。
金属の親水性向上においては表面洗浄によって金属が元々持っている濡れ性を引き出すことをによって達成されます。

 

表面粗面化

プラスチックやゴム表面を適度に荒らし、十分な表面積を確保することで接着性や密着を高めます。

 

表面活性化

放電のエネルギーや放出された電子により、基材表面分子間の化学結合が切断され、フリーの親水性官能基が生成されます。

活性化された表面に生成した官能基と反応する官能基を有する接着剤やプライマー、コーティング材で新たな化学結合を起こし、接着性や密着力を高めます。

表面処理による変化

表面処理前の液滴

表面処理前

表面処理後の液滴

表面処理後

官能基量の変化

官能基量の変化(出典:http://www.pink.de

よくある質問(FAQ)

表面処理の導入を検討されているお客様からよくいただく質問をまとめました。

▶ 表面処理とプライマー処理の違いは何ですか?
プライマー処理は薬品(プライマー)を塗布して接着性を高める方法ですが、薬品コストや廃液処理、乾燥工程が必要になります。一方、プラズマやフレームなどの表面処理は薬品を使わないドライプロセスで、素材表面に直接官能基を付与して接着性を向上させます。コスト削減・工程簡素化・環境負荷低減の観点から、プライマー処理の代替として多くの製造現場で採用が進んでいます。
▶ プラズマ・コロナ・フレーム処理はどう使い分ければいいですか?
処理対象の形状・素材・速度によって使い分けます。
処理方式 向いているケース
プラズマ処理 精密部品・電子部品・局所処理・熱に弱い素材
フレーム処理 大型樹脂部品・3次元形状・高速ライン・広範囲処理
コロナ処理 フィルム・シート状素材・低コスト重視

最適な方式は素材や工程条件によって異なるため、まずはサンプルテストでの確認を推奨しています。

▶ 表面処理の効果はどのくらい持続しますか?
素材の種類や保管環境によりますが、一般的には数時間〜数週間程度で表面エネルギーが低下していきます。処理直後が最も効果が高く、時間の経過とともに大気中の汚染物質の吸着や表面分子の再配列により効果が薄れます。そのため、処理後はできるだけ早く次工程(接着・塗装・印刷)に進むプロセス設計が品質安定の鍵となります。
▶ PP・PEなど難接着材料にも効果がありますか?
はい、効果があります。ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂は表面エネルギーが低く接着剤やインクを弾きやすい素材ですが、プラズマやフレーム処理により表面に親水性の官能基(水酸基・カルボキシル基など)を付与することで、接着性・濡れ性を大幅に改善できます。実際に自動車の大型樹脂部品でプライマーレス化を実現した事例も多数あります。
▶ 導入前にサンプルテストはできますか?
はい、対応しております。ケー・ブラッシュ商会では押上分室のデモ機を使用したサンプルテストを随時受け付けています。実際のワークをお持ち込みいただき、処理前後の接触角データや接着強度を確認してから導入をご検討いただけます。「本当に自社の素材に効果があるのか」を数値で確認してから次のステップに進めます。
▶ 表面処理装置の導入コストはどのくらいですか?
装置の種類・サイズ・処理方式によって大きく異なります。小型の卓上タイプは数十万円から、ライン組み込み型や大型装置は数百万円〜数千万円程度が目安です。ただし、プライマー費用・廃液処理コスト・乾燥工程の削減により、多くの現場で1〜2年以内の投資回収を実現しています。具体的なROI試算はお気軽にご相談ください。

まずはサンプルテストからはじめませんか

実際のワークでプラズマ処理やフレーム処理の効果を確認できます

貴社のワークをお持ち込みいただき、専門エンジニアが処理条件を診断。
導入前に効果を数値で実証。確信を持って次のステップへ進めます。

デモ機貸出・サンプルテストを申し込む →

※ 押上分室にてデモ対応しております。お気軽にご相談ください。

まとめ

処理基材の表面エネルギー値や濡れ性を向上させることが、接着性や密着性、印刷性を良くするための重要な条件です。

相手の基材の表面張力や表面エネルギー値などを考慮し、適切なインキ・プライマー・接着剤等の選択を
する必要があります。
これら設備を用いたデモテストやサンプル作成も承っております。お気軽にお声がけください。


この記事を書いた人

株式会社ケー・ブラッシュ商会 営業部3課 マネージャー 杉本 圭

1981年生まれ 神奈川出身。入社以来20年以上表面処理機の営業を担当。様々な依頼とテストをこなし表面処理の知識を日々習得中。樹脂や金属、2次元から3次元形状のサンプルまでお任せください。

趣味:釣り、キャンプ、ツーリング、そして最近始めた狩猟(新米ハンター)。

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プラズマ処理をはじめ、各種表面処理装置を導入することで脱プライマー、脱溶剤といった作業環境、作業効率の改善、そして自然環境を配慮したモノづくりへの転換を図ることができます。

表面処理の導入によるSDGsへの貢献

プラズマ処理などの表面処理装置の導入は、脱プライマーや脱溶剤といった改善を通じて、作業環境や効率を改善し、持続可能なモノづくりへの転換を図ります。

目標 3:すべての人に健康と福祉を

(ターゲット 3.9) 有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

目標 8:働きがいも経済成長も

(ターゲット 8.2) 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

目標 9:産業と技術革新の基盤をつくろう

(ターゲット 9.4) 資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。

目標 12:つくる責任 つかう責任

(ターゲット 12.4) 環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

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