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炭素繊維と複合材の製造時の除塵対策

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炭素繊維と複合材の製造時の除塵対策

はじめに、炭素繊維と炭素繊維複合材料の製法について

炭素繊維は”軽くて強い”優れた特性を持つ素材で、耐摩耗性、耐熱性、電気伝導性など機械的・化学的に優れた性質を有しています。航空機産業だけでなく、自動車業界への適用が期待され、一部の部品では代替が始まっています。炭素繊維の短所として、製造コストが高い、加工が難しいことなど障壁があります。製造コストを下げ、歩留まりを向上させる製造方法の確立のため、公的研究機関や民間レベルで研究開発が進められています。

 

 炭素繊維には、大きくPAN系とピッチ系があります。PAN系は、アクリロニトリルを原料とし、炭淡化炉・炭化炉・黒鉛化炉で熱処理をして、表面処理・サイジングの工程を経て製造します。ピッチ系は、石油、石炭、コールタールなどの副生成物を原料とし、不融化・黒鉛化のプロセスで熱処理をして、表面処理・サイジングの工程を経て製造されます。

 

 こうして作られた炭素繊維をベースにして、CFRPの部品を製造加工します。CFRPはCarbon Fiber Reinforced Plasticの略です。炭素繊維と樹脂を成形して作られた複合材料で、炭素繊維強化プラスチックのことです。CFRPは樹脂に熱硬化性樹脂を用いるのに対し、熱可塑性樹脂を用いるCFRTPという複合材もあります。CFRPまたはCFRTPを加工業者が製作する場合、スリットして所定の幅に裁断された炭素繊維を外注して仕入れ、加工に用います。(参考:スリットカスを除去する3つの方法|切粉の問題はこれで解決!をみる)製作する目的の製品により、成形方法がいくつかあります。

 

 シートワインディング成形またはフィラメントワインディング成形は、マンドレルに樹脂を含浸した炭素繊維を巻き付けて成形する製法です。パイプ状・角柱状の製品の製造に適用されています。オートクレーブ成形は、炭素繊維にエポキシ樹脂などを浸み込ませたプリプレグを積層して、金型の中で加圧し成形する製法です。プレス成形は、プレス機に設置した金型で積層したプリプレグを熱と圧力で成形する製法です。C/Cコンポジットも炭素繊維に樹脂を含浸して作られる複合材です。C/CはCarbon Fiber Reinforced Carbonの略で、炭素繊維にフェノール樹脂を含浸(または抄紙)して できたプリプレグを熱処理して焼成・炭化を繰り返して作られます。

 

お客様の課題
炭素繊維や複合材の製造プロセスで、表面に付着したパーティクルを加工の前処理・後処理して、除塵する必要性がある工程があります。
例えば、プレス工程では、パーティクルの混入はプレス時に製品不良の原因となります。スリット工程では、切削カスが発塵するので、スリット後の除塵が必要になります。
ドクターエシャリッヒ社が製造するスタティックエアは、ウェブクリーナーとして主にフィルム・ガラス・基板・箔の洗浄用に設計された除塵装置なのですが、スタティックエアの技術は、炭素繊維製造工程でのクリーニングでも非常に高い除塵能力を発揮することができます。

解決策

evafilmcutting.jpg

非接触式クリーナー スタティックエアを、プレス・スリッターなどパーティクルの除塵が必要な各工程に設置。フラットジェットノズルからのエアーストリームで粉や異物を吸引チャネルに運び別置の集塵装置で回収します。後付の用途では、設置スペースが限られているので、個別の用途に合わせて、スタティックエア08型、09型または013型を選択して検討する余地があります。

ウェブクリーナー スタティックエアは、金属粉・カーボン系の粉のような付着異物に対しても非常に高い除塵能力を発揮することが出来ます。フラットジェットノズルからの圧縮エアーストリームで粉や異物を非接触で吸引チャネルに運び別置の集塵機で回収します。(※集塵する塵埃や粉の成分により粉塵爆発の対策が必要なことがあります)

 

スタティックエアは、有効幅50mm単位で製作できるので、導入する工程での炭素繊維・複合材の幅に合わせてボディを製作できます。ボディがコンパクトなので、スリッターのような設置スペースが限られた用途でも後付けしやすく設計されています。

 

例えばスリッターに設置する場合、端面のスリットカスの除塵をする場合には、処理幅100mm以下の狭幅でスタティックエアを制作いたします。また、塗工・積層工程で、ウェブの全幅の集塵が必要な場合には、ウェブの最大長に合わせて広幅のスタティックエアを制作できます。片面の前処理・後処理としてクリーニングする場合には、ウェブの片面にスタティックエアを設置します。ウェブの上面、下面、横向きでも設置することが出来ます。

 

このように、製造工程でスタティックエアを設置する箇所に合わせて制作して、導入することが出来ます。

 

下の写真をクリックして、スタティックエアの原理をYoutubeでご視聴頂けます。(※静電気除去バーの有無は、取付け箇所によります)

 スタティックエアによるクリーニングは、粘着ローラーと比べても、自動化という見地で大きなアドバンテージがあります。粘着ロールによるクリーニングでは、異物を転写させる粘着性テープの頻繁な交換(最低1日1~2回)が必要になることに加え、ロールを箔に接触して吸着させる原理なので、接着面が異物を吸着してへこみが出来ると連続クリーニングのパフォーマンス低下の原因になります。工程により、ウェブの油分がローラーに付着することがあります。このため、粘着性テープの交換だけでなく、粘着ロールの平滑性の点検など、設備管理上の負担が大きくなります。

 

塗工後は、反応性の表面には非接触の異物対策が必要で、張力・テンションが重要なパラメーターであるので、出来るだけ接触は避けたいものです。

 

スタティックエアによる非接触クリーニングで、ウェブの除塵を自動化することで、生産性の改善に大きく貢献することにつながります。定期メンテナンスはとても簡単です。

 

スタティックエアの詳細を見る

☆スタティックエア09型は、後付でもレイアウト変更の手間を軽減し、ライン設計者の負担を軽減します。

☆スタティックエア013型は、ロールとロール間の狭い箇所に設置しやすいよう、ボディはスリムな形状をしています。

ウェブクリーナーの事例をみる

 

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