
唯一無二の非接触搬送技術です。
電極箔を超音波で非接触チャックする技術です。
目 次
|| 電極とは
|| 超音波による非接触チャックの原理
|| 超音波による非接触チャックのメリット
|| 写真:電極を非接触チャック
|| 動画を見る
|| ベルヌーイチャックとの比較
|| 吸着パッド・真空パッドとの比較
|| ゴミ・異物対策としての超音波非接触ハンドリング
|| 主な用途
|| 関連情報
取扱商社:㈱ケー・ブラッシュ商会
電極とは
リチウムイオン二次電池で、正極材・負極材に使用される金属の箔です。正極材はアルミ箔、負極材は銅箔がべースで、それぞれ正極活物質と負極活物質を塗工・乾燥・プレスで成形して作られています。電池の種類により、電極は所定のサイズにカットして、積層工程へ搬送されます。
(参考:リチウムイオン二次電池製造工程でのゴミ・異物対策)
超音波による非接触チャックの原理
電極を非接触チャックするチャック面には、ソノトロードというパーツを使用しています。超音波による振動を生成するための部品です。ソノトロードの振動によるエネルギーを、ソノトロードと接する空気やガスに伝えることができます。
ソノトロードは、平坦なプレート状で、高周波振動して空気や雰囲気ガスを圧縮・拡散を行います。
装置の電源をONにすると、ソノトロード(搬送面)は高周波で微振動します。ソノトロードの表面には超音波による周期的な圧縮と圧縮解除が行われます。電極箔とソノトロードの間には、圧縮された薄い空気の膜が形成されます(スクイーズ膜)。これが、チャック面と電極の間に距離を保持するための反発力になります。
同時に、ソノトロードから陰圧の吸引力で電極箔を引き寄せています。この状態では、負圧の吸引力と超音波の反発力により、電極箔は非接触でチャックされた状態に保持することができます。 これが、超音波による非接触チャックの原理です。
これにより電極箔は非常に安定した状態で非接触でチャックされます。
超音波による非接触チャックのメリット
電極箔を非接触チャックすることにより微小な傷やクラックを防止!
電極箔を非接触チャックすることにより異物の付着を防止!
非接触チャックに、工場エアやクリーンエアは不要です。ユーティリティーは電源のみ。
チャック面からエアブロー・窒素ブローしません。クリーン環境に最適です。
圧縮エア源からの汚染リスクがありません。
圧縮エアのメンテナンスが不要。
写真:電極を非接触チャック
写真1:非接触チャック | 基材は、電極(活物質塗工済/集電タグ無し) です。
グレーのチャック面と電極の間はギャップがあります。非接触でチャックしています。
写真2:非接触チャック | 基材は、電極(活物質塗工済/集電タグ有り) です。
グレーのチャック面と電極の間はギャップがあります。非接触でチャックしています。
動画でみる
Linear Overhead Transport:
電極箔の上面に位置するソノトロード(チャック面)が、電極を非接触でチャックして、水平方向へ搬送する動画です。
非接触でチャックされた電極が水平方向に往復移動しています。移動中は、電極の上面と下面は非接触です。
Stacking of Battery Foil:
非接触でチャックされた電極が右から左へ搬送されて、所定の位置へプレースされている動画です。水平方向に移動中は、電極の上面と下面は非接触です。
Lifting of Battery Foil:
複数の電極箔が積み重ねられています。そこへ上面からチャック面を近づけて、一番上の一枚の電極を非接触でピックアップしています。
Robot Overhead Gripper:
動画の直方体の装置が非接触でチャックするための装置です。基材は、塗工していない銅箔です。負極材のベースになる素材です。
所定の位置にセットした銅箔の上からグリッパーを上面から近づけると、非接触でチャックすることができています。銅箔を上面から引き寄せる力は、吸引による負圧です。
チャック面にはスクイーズ膜効果による空気の膜があり、これが反発力になり銅箔はチャック面と非接触で保持されています。そのまま、グリッパーをZ方向へ移動しても問題なく非接触で保持できています。
UltraLevi-Desk:
最後の動画、UltraLevi-Deskは非接触チャックではありません。銅箔を非接触で浮上する動画です。
浮上させるテーブルは、圧縮エアでブローしていません。
テーブルが超音波により高周波で微振動することで、銅箔との間のスクイーズ膜効果により非接触浮上しています。ユーティリティーは電源のみです。テーブルが、部屋にエアブローすることなく銅箔を非接触浮上することができています。
超音波による非接触チャック・非接触浮上には、基材の材質は無関係です。銅箔・アルミ箔、コーティング有無には無関係にハンドリングできます。
ベルヌーイチャックとの比較
超音波 非接触 チャック |
ベルヌーイ チャック |
||||||||
エアーブロー | 無 | 有 | |||||||
窒素ブロー | 無 | 有 | |||||||
コンプレッサー | 無 | 有 | |||||||
圧縮エアの メンテナンス |
無 | 有 | |||||||
エアーブロー による汚染 |
無 | 有 | |||||||
電極箔への 負荷 |
小 | 大 | |||||||
クリーン環境 の適合性 |
〇 | △ | |||||||
歩留まり | 〇 | △ |
吸着パッド・真空パッドとの比較
吸着パッド・真空パッドは、簡易的なチャック方式です。安価なので導入しやすい吸盤です。接触式なので、チャックする基材に・跡がつく・偏った力が加わる・基材へのダメーが大きいという特徴があります。パッドとの接触により、異物付着の可能性が大きく、歩留まり低減の可能性があります。
下記は、超音波非接触チャックとの比較表です
超音波 非接触 チャック |
真空パッド 吸着パッド |
|||||||
接触 | 非接触 | 接触 | ||||||
電極箔への ダメージ |
小 | 大 | ||||||
電極箔への 負荷 |
小 | 大 | ||||||
異物転写 リスク |
小 | 大 | ||||||
クリーン環境 の適合性 |
〇 | △ | ||||||
歩留まり | 〇 | △ |
ゴミ・異物対策としての超音波非接触ハンドリング
超音波による非接触搬送技術は、電極箔との接触に起因する異物付着を解消することができます。
電極の表面・裏面は非接触なので、基板の異物付着を回避して次工程へ部材を持ち込むことができます。
チャック面はエアブローしないので、エア源からの汚染リスクは皆無です。
非接触搬送技術を外観検査へ導入する場合、付着異物による外観検査装置の誤作動を防止することにつながり、歩留まり向上につながります。
超音波による非接触チャックは、クリーン環境での電極材のハンドリングに最適な技術です。
主な用途
表面が平滑な製品(フラットな製品)を搬送できます。
写真:リチウムイオン二次電池用電極箔(集電タブ付き)・セルを非接触浮上搬送
写真:PVウェーハを非接触浮上搬送チャック
写真:シリコンウェーハを非接触チャック
写真:FPD(フラットパネルディスプレイ)を非接触チャック
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