Lithium-ion Battery Manufacturing Guide
リチウムイオン電池 製造工程の異物対策|電極・セパレータの品質を守る除塵技術ガイド
リチウムイオン二次電池(LIB)の品質は、製造工程で発生・付着する微細な異物によって大きく左右されます。塗工前、プレス、スリット、巻回、巻き出し、積層など各工程で発生する異物の特徴と、対策に適した除塵方法を工程別に解説します。
最終更新日:2026年7月28日/株式会社ケー・ブラッシュ商会
📌 この記事の結論
- 異物は発生した工程の直後に除去する「工程内除塵」が、クリーンルーム任せより効果的
- 塗工前後・プレス前後・スリット直後は非接触の「スタティックエア」が第一候補
- 積層前の正極材・負極材には「ロータークリーン」、巻回後の端面や設備清掃には「エレファント」または「ロータークリーン」向く
- 粘着ローラーは簡便だが、粉塵が多い用途ではメンテナンス頻度が高くなる、などのトレードオフがある
リチウムイオン電池の品質は「工程内除塵」で決まる
リチウムイオン二次電池は、高容量化・高出力化が進むにつれて、製造工程における異物管理の重要性がますます高まっています。電極やセパレータへ微細な異物が付着すると、外観不良だけではなく、品質ばらつきや歩留まり低下の原因になる場合があります。
特にロールtoロール工程では静電気によって異物が吸着しやすく、発生した粉塵が後工程へ持ち込まれるケースも少なくありません。そのため現在では、クリーンルームだけに頼るのではなく、異物が発生した工程で除去する「工程内除塵」という考え方が広く採用されています。
⚠️ 粉塵爆発への配慮
集塵する塵埃・粉の成分によっては、粉塵爆発対策が別途必要になる場合があります。
リチウムイオン電池製造工程マップ
材料搬送
塗工
乾燥
ロールプレス
スリット
巻回
巻き出し
積層
セル組立
完成
この中でも特に異物管理が重要となるのが塗工前後、ロールプレス前後、スリット、巻回、巻き出し、積層工程です。工程ごとに発生する異物の種類や原因が異なるため、最適な除塵方法を選定する必要があります。
実際のロールtoロールライン設置例(スタティックエア)
工程別 異物発生メカニズム
塗工前
主な異物:一般粉塵、金属粉、切粉、搬送ローラー由来の摩耗粉
異物が残ったまま塗工すると活物質層へ取り込まれ、塗工ムラや外観不良の原因になります。
推奨:スタティックエア
乾燥
主な異物:乾燥後の微細粉、付着粉塵、設備由来の摩耗粉
静電気によって微細粉塵が付着しやすくなるため、次工程へ持ち込む前の除電・除塵が有効です。
推奨:スタティックエア
ロールプレス
主な課題:既に付着している異物、設備由来の微粒子
異物がプレス圧で押し込まれると後工程で除去しにくくなるため、プレス前後の除塵が重要です。
推奨:スタティックエア
スリット
主な異物:スリットカス、切断粉、金属粉
端面から発生した粉塵は表裏面へ付着し、巻き取り時に層間へ押し込まれます。
推奨:スタティックエア
巻回
主な課題:端面粉塵、層間へ持ち込まれるスリットカス
表裏面や端部に残った異物がロール内部へ巻き込まれ、巻き圧で押し付けられます。
推奨:エレファントによる端面清掃
巻き出し
主な課題:端面に付着・圧縮されたスリットカスの再飛散
巻回後に端面へ残った粉塵が、巻き出し時に剥離して工程内へ持ち込まれる場合があります。
推奨:ロータークリーン
積層
主な異物:活物質粉、スリットカス、一般粉塵
正極・セパレータ・負極を重ねる前に異物が残ると層間へ取り込まれます。
推奨:スタティックエア
工程ごとの除塵装置
搬送中の電極やセパレータへ接触せず、静電気を除去しながら異物を吸引します。
適用:塗工前、乾燥後、プレス前後、スリット直後、積層前
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ロールを回転させながら端面へブラシを作用させ、付着・圧縮されたスリットカスを除去します。
適用:巻き出し前のロール端面清掃
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イオン化エアと吸引を組み合わせ、設備・ワーク・ロール端面などを柔軟に清掃します。
適用:巻回後、設備停止時、段取り替え、手持ち・固定・ロボット清掃
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除塵方式の比較
表は左右にスワイプして確認できます。
5つの除塵方式 比較表
| 方式 |
接触 |
特徴 |
適した用途 |
注意点 |
| 非接触ウェブクリーナー |
非接触 |
除電と吸引を組み合わせ、両面除塵にも対応 |
塗工前、プレス前後、スリット直後、積層前 |
幅・速度・設置距離・吸引条件の確認が必要 |
| 接触ブラシ |
接触 |
付着力の強い異物へ物理的に作用 |
接触が許容される材料 |
傷、摩耗粉、清掃管理 |
| エアブロー |
非接触 |
構成が比較的シンプル |
大きく離れやすい異物、設備清掃 |
異物の再飛散に注意 |
| 粘着ローラー |
接触 |
異物を粘着面へ転写 |
平坦で接触可能なシート |
粘着材転写、交換、飽和管理 |
| 端面ブラシ |
接触 |
巻き取られたロール端面を清掃 |
電極・セパレータのロール端面 |
巻き硬さ、端面状態、ブラシ条件の確認 |
工程別おすすめ除塵装置一覧
表は左右にスワイプして確認できます。
工程×異物×おすすめ装置
| 工程 |
主な課題 |
おすすめ装置 |
理由 |
| 塗工前後 |
一般粉塵、金属粉、切粉 |
スタティックエア |
塗工膜へ異物が取り込まれる前に非接触除塵 |
| プレス前後 |
活物質粉、一般粉塵 |
スタティックエア |
押し込み前と次工程への持ち込み前に除去 |
| スリット直後 |
スリットカス、切断粉 |
スタティックエア |
発生源近くで除電・吸引し巻き込みを抑制 |
| 巻回後 |
端面粉塵、スリットカス |
エレファント |
手持ち、固定、ロボットで端面清掃 |
| 巻き出し前 |
圧縮されたスリットカス |
ロータークリーン |
ロール回転と端面ブラシで再飛散を抑制 |
| 積層前 |
活物質粉、スリットカス、一般粉塵 |
スタティックエア |
正極・負極・セパレータを重ねる前に除去 |

応用例:エレファントによるロール端面清掃/ロータークリーンによるロール端面清掃
よくある質問
Q1. どの工程で除塵が必要ですか?
塗工前後、プレス前後、スリット直後、巻回後、巻き出し前、積層前などが代表的な除塵ポイントです。異物が発生した直後、または次工程へ入る直前に除去することが基本です。
Q2. 電極へ接触せずに除塵できますか?
はい。スタティックエアのような非接触ウェブクリーナーは、電極へ接触せずに静電気を除去し、表面から離れた異物を吸引できます。
Q3. 正極と負極の両方に使用できますか?
はい。材料の表面状態、幅、搬送速度、異物の種類に応じて、ノズル形状や吸引条件を選定します。
Q4. セパレータフィルムにも使用できますか?
使用できます。薄く変形しやすいセパレータでは、吸引によるばたつきや搬送への影響を確認しながら設置距離と風量を調整します。
Q5. 銅箔やアルミ箔の塗工前除塵にも使えますか?
はい。一般粉塵、金属粉、切粉などが塗工膜へ取り込まれる前の対策として有効です。
Q6. スリットカスを除去できますか?
はい。スリット直後はスタティックエア、巻き取ったロール端面はエレファントまたはロータークリーンが候補になります。
Q7. 電極の表裏を同時に除塵できますか?
上下へクリーナーヘッドを配置することで、電極の表裏を同時に除塵できます。
Q8. 高速のロールtoロールラインにも対応できますか?
対応可能です。搬送速度に応じてヘッド構成、吸引風量、設置位置、複数ヘッド化を検討します。
Q9. 静電気だけを除去することもできますか?
条件に応じて除電を主目的とした構成も検討できます。ただし異物が付着している場合は吸引を組み合わせる方が効果的です。
Q10. スタティックエアと一般的なエアブローの違いは?
エアブローは異物を周囲へ吹き飛ばす可能性があります。スタティックエアは除電後に異物を吸引回収する点が異なります。
Q11. ロータークリーンはどのような工程で使用しますか?
積層工程では、巻き出された正極材・負極材をロールtoロールで流しながらロータークリーンを2台対向して設置して、その間を通します。電極を流しながら両面をクリーニングします。その他、スリットしてロール状に巻いた後、ロールの端面の清掃に使用する用途もあります。ロールを回転させながら端面へブラシを作用させます。
Q12. エレファントは手作業専用ですか?
いいえ。手持ち式に加え、固定式やロボット搭載構成も検討できます。
Q13. 既設の集塵機を使用できますか?
条件が合えば他社製集塵機も使用できます。必要風量、静圧、フィルター性能、配管条件などを確認します。
Q14. 対応できる有効幅に制限はありますか?
標準幅だけでなく、対象材料に合わせた幅で製作できる場合があります。必要な有効幅をご連絡ください。
Q15. クリーンルーム内で使用できますか?
使用環境に応じた構成を検討できます。装置材質、発塵対策、排気方法、集塵機の設置場所などを確認します。
Q16. 防爆仕様はありますか?
粉塵、溶剤、危険場所の区分、設備全体の防爆要件によって対応可否が異なります。個別条件の確認が必要です。
Q17. メンテナンス頻度はどのくらいですか?
異物量、稼働時間、フィルター負荷、使用環境によって異なります。ノズル、吸引口、配管、フィルター、イオナイザを定期確認します。
Q18. イオナイザの寿命はどのくらいですか?
使用時間、清浄度、電極針への付着、メンテナンス状況で変わります。定期清掃と除電性能の確認が重要です。
Q19. デモ機を借りることはできますか?
対象装置や時期によっては、デモ機またはテスト機をご案内できる場合があります。下記お問い合わせよりご相談ください。
Q20. 実際の材料を使った除塵テストは可能ですか?
可能です。除塵前後の状態、搬送安定性、表面への影響、必要風量などを確認して機種選定へ反映します。
LITHIUM-ION BATTERY CLEANING CONSULTATION
電極・セパレータの異物対策でお困りですか?
塗工前、プレス前後、スリット、巻回、巻き出し、積層など、工程によって最適な除塵方法は異なります。対象材料やライン条件を確認し、スタティックエア、ロータークリーン、エレファントなどから適した方法をご提案します。
本記事は株式会社ケー・ブラッシュ商会「リチウムイオン二次電池製造工程での金属異物・粉塵対策」をSEO観点でリライトした版です。