
「乾式接着」の原理でレンズをハンドリングする技術があります
目次
ヤモリの足裏の接着原理
ゲッコーペンはヤモリの接着原理を生体模倣した技術です
ゲッコーペンの使い方
ゲッコ―ペンのラインナップ
vs. 吸着・粘着タイプのペンと比較
ゲッコーペンのメリット
ゲッコーペンのメンテナンス
関連情報
ヤモリの足裏の接着原理
古いお家の壁や天井を歩くヤモリ。ヤモリの足裏には自然界が生み出した興味深い物理現象が起きているのをご存じでしょうか。
ヤモリの足裏には、吸盤はありません。「セタ」という非常に細い繊維がびっしり生えています。セタの先端が壁に触れると、ファンデルワールス力という分子間力で壁と引き合い 接着することが出来ます。この引力で、ヤモリは壁や天井を歩くときも落下せずに体を支えています。
この物理現象を生体模倣して、産業用途に展開しようという研究もおこなわれています。
そして、このページでご紹介します ゲッコーペンも ヤモリの足裏の接着原理から着想を得た、新しい接着技術です。
ゲッコーペンはヤモリの接着原理を生体模倣した技術です
ゲッコーペンは、ヤモリの足裏の「セタ」の代わりに、「ピラー」という人工的に製造した小さな支柱がついてます。
ピラーを基材に軽く当てると、ファンデルワールス力の引力で、基材を接着することが出来ます。
写真の白いエリアが接着部に、ピラーを装着しています。
「接着」という単語を使ってますが、接着剤やプライマーは使いません。「乾式接着」です。物理吸着という呼称もあります。
乾式接着のメリットは、接着剤を使わないので、基材表面に接着成分の残渣を残すことがありません。レンズのような繊細な表面に適しています。
また、乾式接着は基材をリリースするのも簡単です。基材を接着した後、ピラーを少し傾けて 分子間力を解除することでリリースします。
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ゲッコーペンの使い方
◆レンズをピックアップする時
ゲッコーペンの接着面が、レンズ表面と ほぼ平行にして 近づけます。
ゲッコーペンの接着面をレンズ表面に軽く当てて、上に持ち上げるとピックアップします。
◆レンズをリリースする時
リリースする方法は、3つ
①レンズ表面に対して、ゲッコーペンの接着面を横にずらす
②レンズ表面に対して、ゲッコーペンの接着面を傾ける
③レンズ表面に対して、ゲッコーペンの接着面を回転させる
◆接着面が汚れた場合
別売のクリーニングテープで吸着部を清掃します。
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ゲッコーペンのラインナップ
ゲッコーペン04, ゲッコーペン08, ゲッコーペン12 の3種ございます。
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vs. 吸着・粘着タイプのペンと比較
「吸着」タイプは、ノズル・パッドを基材に当てて、バキュームすることで真空にして基材を吸着する技術です。
真空を生成するために、動力源(エジェクター・コンプレッサー)を使うので 電力・エネルギーコストが発生します。
また、レンズのような繊細な基材をピックアップする用途では、吸着痕が付かないよう注意が必要です。
それに対し、ゲッコーペンは乾式接着なので、接着に要するエネルギーはゼロです。
そして、真空吸着のように吸着痕を残すことがありません。
また、ゲッコーペンは化学的な粘着質な媒体を使うことはありません。乾式・ドライプロセスでピックアンドプレースします。
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ゲッコーペンのメリット
◆「乾式接着」です。接着材・プライマーは使いません。
◆吸着痕・残渣・擦り傷を残さない表面に優しい接着技術です。
◆接着するだけでなく、リリースも簡単にできます。ピックアンドプレースの用途でも早いタクトに対応します。
◆接着に要するエネルギーコストゼロです。物理現象を適用した乾式接着技術は、消費電力ゼロの低環境負荷の移載技術です。
◆ペンタイプなので、乾式接着技術を研究・実験するのに適したスターターキットです。
◆小さなレンズ・部品を取り扱う作業現場に適したハンドリングツールです。
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ゲッコーペンのメンテナンス
クリーニングテープ(別売り)で、ゲッコーペンの接着面が汚れたら清掃します。
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