
見逃していませんか?
- バー型イオナイザの圧縮空気代の計算方法
- 年間いくら電気代が掛かるのか
- コンプレッサー空気単価の求め方
- CO₂削減効果
- エアフリーイオナイザとの比較
- 投資回収の考え方
3ステップで分かる年間電気代の計算方法
計算式だけを見ると難しそうですが、 実際は3つの数字を順番に求めるだけです。
メーカーの仕様書に記載されている 「L/min」を確認します。 例) 256L/min 128L/min 80L/min などです。
L/minをm³/minへ換算し、 年間運転時間を掛けます。 これで 年間に使用した圧縮空気量 が分かります。
年間使用量に 空気単価(円/m³) を掛ければ 年間電気代が分かります。
バー型イオナイザ 年間電気代早見表
| バー幅 | エア消費量 | 年間電気代 |
|---|---|---|
| 300mm | 約77L/min | 約53,000円 |
| 500mm | 128L/min | 約88,000円 |
| 1000mm | 256L/min | 約177,000円 |
エア式イオナイザとスマートイオン比較
| 比較項目 | エア式 | スマートイオン |
|---|---|---|
| 圧縮空気 | 必要 | 不要 |
| ランニングコスト | 高い | 低い |
| CO₂排出 | 多い | 少ない |
| コンプレッサー負荷 | 増える | なし |
圧縮空気の電気代を実際に計算してみよう
ここからは、バー型イオナイザのエア消費量、年間運転時間、台数を使って、圧縮空気の電気代を計算します。 計算するときに必要なのは、次の4項目です。
| 1. エア消費量 | L/min |
| 2. 年間運転時間 | h/年 |
| 3. 圧縮空気単価 | 円/m3 |
| 4. 使用台数 | 台 |
× 0.001
× 60分
× 年間運転時間
× 圧縮空気単価
× 使用台数
「0.001」は、Lをm3へ換算するための数字です。 1,000Lは1m3なので、L/minに0.001を掛けます。
計算例1:1,000mm幅のイオナイザを1台使用
| バー幅 | 1,000mm |
|---|---|
| エア消費量 | 256L/min |
| 年間運転時間 | 5,000時間 |
| 圧縮空気単価 | 2.3円/m3 |
| 使用台数 | 1台 |
256L/min × 0.001 = 0.256m3/min
0.256m3/min × 60分 × 5,000時間
= 76,800m3/年
76,800m3/年 × 2.3円/m3
= 176,640円/年
計算例2:クリーンブース25台で合計50台を使用
立ち作業用のクリーンブース1台につき、500mm幅のバー型イオナイザを2台設置しているケースです。 クリーンブースが25台ある場合、イオナイザの合計台数は50台になります。
| バー幅 | 500mm |
|---|---|
| 1台当たりのエア消費量 | 128L/min |
| 年間運転時間 | 5,000時間 |
| 圧縮空気単価 | 2.3円/m3 |
| 使用台数 | 50台 |
1台当たりの年間電気代
128 × 0.001 × 60 × 5,000 × 2.3
= 88,320円/年
50台分の年間電気代
88,320円 × 50台
= 4,416,000円/年
計算例3:20ラインで合計100台を使用
樹脂成形品のコンベヤ搬送工程で、1ラインにつき500mm幅のバー型イオナイザを5台使用しているケースです。 20ラインで運用すると、合計100台になります。
| バー幅 | 500mm |
|---|---|
| 1台当たりのエア消費量 | 128L/min |
| 年間運転時間 | 5,500時間 |
| 圧縮空気単価 | 2.3円/m3 |
| 使用台数 | 100台 |
1台当たりの年間電気代
128 × 0.001 × 60 × 5,500 × 2.3
= 97,152円/年
100台分の年間電気代
97,152円 × 100台
= 9,715,200円/年
台数が増えるほど、圧縮空気コストの差は大きくなる
| 使用条件 | 1台当たり | 台数 | 年間コスト |
|---|---|---|---|
| 1,000mm幅・5,000時間 | 176,640円 | 1台 | 176,640円 |
| 500mm幅・5,000時間 | 88,320円 | 50台 | 4,416,000円 |
| 500mm幅・5,500時間 | 97,152円 | 100台 | 9,715,200円 |
バー型イオナイザ1台だけを見ると、圧縮空気代は設備全体の中で小さく見えるかもしれません。 しかし、クリーンブース、成形ライン、組立ラインなどで数十台から数百台を運用すると、 年間コストは数百万円から1,000万円近くになる可能性があります。
圧縮空気1m3当たりの単価はどう求める?
ここまでの計算では、圧縮空気単価を2.3円/m3として試算しました。 ただし、実際の空気単価はコンプレッサーの能力、電気料金、運転状況、モーター効率によって変わります。
= モーター出力(kW)× 電気料金単価(円/kWh)
÷ モーター効率
÷ 吐出空気量(m3/min)
÷ 60分
37kWコンプレッサーの計算例
| モーター出力 | 37kW |
|---|---|
| 吐出空気量 | 6.3m3/min |
| モーター効率 | 85% |
| 電気料金単価 | 20円/kWh |
37 × 20 ÷ 0.85 ÷ 6.3 ÷ 60
= 約2.3円/m3
この計算は、コンプレッサーが仕様どおりの吐出量で効率良く運転していることを前提にした概算です。 実際の工場では、負荷率、待機運転、圧力損失、エア漏れ、ドライヤーなどの補機電力によって単価が上昇する場合があります。
設備費とメンテナンス費も含めた空気単価
圧縮空気をつくるためには、電気料金だけでなく、コンプレッサー本体の購入費用やメンテナンス費用も必要です。 より実態に近いコストを把握するには、次の項目も含めて計算します。
■ 電気料金:コンプレッサーを運転するための電力費
■ 設備償却費:コンプレッサー購入費を使用年数で分けた費用
■ メンテナンス費:オイル、フィルター、シール、点検、修理などの費用
コンプレッサー購入価格:500万円
償却期間:10年
年間設備償却費:50万円
年間メンテナンス費:20万円
年間運転時間:6,000時間
+ 年間設備償却費 500,000円
+ 年間メンテナンス費 200,000円
= 年間総費用 5,140,000円
約2.67円/m3
社内で定めた圧縮空気単価がある場合は、その数値を使用するのが最も簡単です。 単価が分からない場合は、まず電気料金だけで概算し、その後に設備償却費やメンテナンス費を加えて精度を高める方法が現実的です。
圧縮空気コスト計算でよくある間違い
空気単価は円/m3で示されるため、L/minをm3/minへ換算する必要があります。 L/minに0.001を掛けてください。
1台当たりのコストが小さく見えても、同じ設備を50台、100台と使用していれば大きな金額になります。 工場全体の使用台数を確認しましょう。
設備の稼働時間とイオナイザのエア供給時間が同じとは限りません。 休憩中、段取り替え、待機中にもエアが流れている場合は、その時間も含めて計算します。
エア消費量は使用圧力によって変わります。 仕様書に記載された圧力条件と、実際の供給圧力が一致しているか確認してください。
圧縮空気の削減はCO2排出量の削減にもつながる
コンプレッサーで圧縮空気をつくるには電力が必要です。 そのため、イオナイザで使用する圧縮空気を削減すると、電力使用量とCO2排出量の削減につながります。
× 使用している電力のCO2排出係数
= 年間CO2削減量
例1の年間電力量を逆算
年間圧縮空気コスト 176,640円
÷ 電気料金単価 20円/kWh
= 8,832kWh/年
この8,832kWhに、自社が契約している電力会社または社内で採用しているCO2排出係数を掛けることで、 おおよその年間CO2排出量を計算できます。 排出係数は契約内容や算定年度によって異なるため、最新の社内基準値をご使用ください。
圧縮空気不要のイオナイザの投資回収を計算する
既存のエア式イオナイザをエアを使わないタイプへ置き換える場合は、本体価格だけでなく、 削減できる圧縮空気代を含めて判断することが重要です。
= 導入に必要な費用
÷ 年間削減額
■ 削減できる圧縮空気の電気代
■ コンプレッサー負荷低減による保守費用の差
■ エア配管や継手の保守費用の差
■ 新しいイオナイザに必要な消費電力や保守費用
エア式イオナイザは購入価格が低く見えても、使用期間中は継続して圧縮空気代が発生します。 設備を5年、10年使用する場合は、初期費用とランニングコストを合計した総保有コストで比較することが大切です。
エア式とエア不要のイオナイザは総保有コストで比較する
| 比較項目 | エア式イオナイザ | エア不要イオナイザ/スマートイオン |
|---|---|---|
| 本体購入費 | 機種により異なる | 機種により異なる |
| 圧縮空気代 | 継続して発生 | 不要 |
| エア配管 | 必要 | 不要 |
| コンプレッサー負荷 | 増加する | 増加しない |
| 設置場所 | エア供給環境が必要 | 電源を中心に検討 |
| 長期ランニングコスト | 大きくなりやすい | 抑えやすい |
まずは、使用中のバー型イオナイザについて、エア消費量、運転時間、台数を一覧にしてください。 その数字を年間コストへ換算すると、エアフリー化を検討すべき設備の優先順位が見えてきます。
圧縮空気を使わない除電方法という選択肢
エア式イオナイザは、圧縮空気にイオンを乗せて対象物へ届けるため、離れた位置や広い範囲を除電しやすいという特長があります。 一方で、使用中はコンプレッサーが圧縮空気を供給し続けるため、電気代がランニングコストとして発生します。
そこで検討したいのが、圧縮空気を使用せずに除電する エアを使わないイオナイザです。 除電性能だけでなく、設置距離、対象物の搬送速度、帯電量、周辺環境などを確認し、エアを使用しない方式へ置き換えられるかを検討します。
● イオナイザを長時間連続運転している
● 同じ工場内で数十台以上のエア式イオナイザを使用している
● 除電対象まで一定の設置距離を確保できる
● エアブローによる製品のばたつきや粉塵の巻き上げを避けたい
● 工場の省エネ、CO2排出量削減、コンプレッサー負荷低減を進めている
スマートイオンは圧縮空気を使わないパルスDCイオナイザ
スマートイオンは、パルスDC方式を採用した圧縮空気を使わないイオナイザです。 圧縮空気を使わず、正イオンと負イオンを対象物へ供給して静電気を中和します。
エア配管を必要としないため、エア式イオナイザで継続的に発生していた圧縮空気代を削減できます。 また、エアブローによる薄いフィルムのばたつきや、周囲にある微粒子の巻き上げを避けたい工程でも検討できます。
エア配管を接続せずに除電できるため、イオナイザが使用していた圧縮空気の削減につながります。
パルスDC方式により、対象物まで距離がある工程や、比較的広い範囲の除電にも対応を検討できます。
薄いフィルム、シート、金属箔など、エアブローによって振動しやすい材料の除電に適しています。
既存イオナイザのエア消費量と運転時間が分かれば、置き換えによる圧縮空気削減額を事前に試算できます。
スマートイオンを検討できる主な用途
巻出し、搬送、スリット、ラミネート、巻取りなどで発生する剥離帯電や摩擦帯電の対策に使用します。 薄いフィルムでは、エアブローによるばたつきを避けられることも利点です。
軽い枚葉シートを吹き飛ばすことなく除電できます。
風を当てると動いたり、吹き飛ばされてしまう軽量製品に風を当てずに静電気を除去することができます。
成形後のコンベヤ搬送、組立、検査、梱包などで、部品表面へのホコリ付着や静電気障害を防止します。
組立作業や検査作業を行うクリーンブースの上部に設置し、製品や作業空間の静電気対策に使用します。
クリーンルーム内に無用なエアブローをせずに除電器を適用できます。
エア式からスマートイオンへ置き換える前の確認事項
エア式イオナイザを、すべてそのままスマートイオンへ置き換えられるとは限りません。 除電対象や設置条件によっては、エアによるイオン輸送が必要な場合もあります。 導入前には、次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 設置距離 | イオナイザから除電対象までの距離 |
| 対象物の速度 | フィルム、部品、ワークなどの搬送速度 |
| 初期帯電量 | 除電前の帯電電位と目標電位 |
| 周囲の気流 | 設備内のエアフロー、排気、外乱風の有無 |
| 除電範囲 | 対象物の幅、高さ、形状、移動範囲 |
| 設置環境 | 温度、湿度、クリーン度、溶剤、防爆要否など |
カタログ上の除電性能だけで判断せず、実際の対象物、搬送速度、設置距離に近い条件でテストすることが重要です。 必要に応じて、現在使用しているイオナイザとの比較測定を行います。
バー型イオナイザと圧縮空気の電気代に関するFAQ
質問をクリックすると回答が開きます。 圧縮空気コストの計算方法や、エアフリーイオナイザへの置き換えについて、よくある質問をまとめました。
※掲載している計算結果は、設定した条件に基づく概算です。 実際の圧縮空気コストは、コンプレッサーの負荷率、吐出圧力、配管損失、エア漏れ、補機電力、電気料金契約などによって異なります。
まずは工場内のイオナイザを一覧化しましょう
圧縮空気コストを削減するには、工場内で何台のエア式イオナイザを使用しているかを把握することが第一歩です。 次の項目を設備ごとに一覧へまとめると、削減効果の大きい設備が見つけやすくなります。
| 設備名 | 型式 | L/min | 台数 | 時間/年 | 年間コスト |
|---|---|---|---|---|---|
| 記入欄 | |||||
| 記入欄 |
見える化しませんか?
使用中のイオナイザの型式、エア消費量、台数、運転時間が分かれば、 年間の圧縮空気コストを概算できます。 エアフリーイオナイザへの置き換え可否や、投資回収期間についてもご相談ください。
圧縮空気コストについて相談する →型式や仕様書がなくても、分かる範囲から確認できます。



