
目次
CO2スノードライ洗浄装置とは?
動画:ガラス基板を搬送しながらCO2スノーでドライ洗浄
どんな異物を洗浄できるの?
機器構成・装置技術
ユーティリティー
CO2スノージェット洗浄装置のメリット
カーボンニュートラルとの関係
関 連 情 報
CO2スノージェット洗浄装置の関連情報
ドライクリーナー・除電器の関連情報
非接触搬送の関連情報
CO2スノージェット洗浄装置とは?
CO2スノージェット洗浄装置は、液化炭酸ガスを特殊なノズルから噴霧して、基材の付着異物をドライ洗浄する洗浄装置です。
写真:ノズル1本を搭載した装置 ジェットウオーカー
CO2スノージェット洗浄装置は、液化炭酸ガスを装置内の配管でノズルまで液送し、その液体CO2をノズルから噴霧して、小さな氷の結晶(スノー)にしています。
ノズルから噴霧したスノーは、最大500m/sの速度でガラス基板へ到達します。そして、CO2スノーは、4つの効果で表面を洗浄します。
1.衝撃洗浄:
表面に衝突した氷の結晶はマイクロブラスト効果で付着異物・汚染物を洗浄します。氷の結晶は、硬度が小さいのでワークへのダメージを最小限にして洗浄します。繊細なガラス基板への洗浄にも適用することが出来ます。
2.急速冷却
スノーは、-78.5℃の低温です。スノーと接した汚染異物は、急速冷却されて 脆く 除去しやすくなります。
3.CO2スノーの膨張エネルギーで洗浄
昇華によりCO2の体積が600~800倍に膨張。膨張する時のエネルギーで表面を洗浄します。
4.溶剤効果
シクロヘキサンと同等の溶剤効果で表面を洗浄します。
CO2スノージェット洗浄装置は、部材をマスキングして洗浄することができるので、洗浄不要な部位はマスキングして、局所的な洗浄ができます。
表面をドライ洗浄したら、乾燥工程を不要にして ワークを次工程へ搬送することが出来ます。
溶剤・IPA・炭化水素など、ケミカルを使うウエット洗浄ではありませんので、洗浄後の廃液処理の問題はありません。環境負荷が低い洗浄技術です。
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動画:ガラス基板を搬送しながらCO2スノーでドライ洗浄
動画の透明なガラス基板は、CdTe太陽電池のガラス基板です。
元素記号Cdは、原子番号48のカドミウムです。元素記号Teは、原子番号52のテルルです。CdTe太陽電池は、テルル化カドミウム(CdTe)を使った化合物半導体系太陽電池の事です。世界では、米国のファーストソーラーが世界最大手で、太陽電池セルの変換効率で22.1%(2016年)を記録しています。
動画では、クリアなガラス基板を搬送する装置があります。ガラス基板は一軸方向に搬送して、CO2スノーを噴霧するノズルが固定されています。ガラス基板上の特定の部位が搬送しながらスノーで洗浄されます。
CO2スノードライ洗浄装置は、微小なゴミ・ホコリ・微粒子だけでなく、有機物・油の薄膜・接着剤の薄膜状の残渣などの汚染物をドライ洗浄することが出来ます。
動画では、一工程のみを映してますが、CdTe太陽電池製造工程の様々なプロセスで段階的にCO2スノー洗浄装置を適用しています。ガラスをレーザー加工した後の、ヒュームや蒸散物を洗浄する工程にも適用されています。
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どんな異物を洗浄できるの?
エアーブローや集塵型ノズルでは除去が難しい、様々な異物・汚染物をドライ洗浄する能力があります。
◆微小なゴミ・ホコリ・塵埃
生産環境に浮遊している微小なゴミ・ホコリ・塵埃・繊維クズ。こうした異物は、用途によりエアーブローノズル・除電ブロー・集塵型ノズルシステムで対応できることもありますが、CO2スノージェット洗浄装置では、こうりた異物も除去できます。
◆有機系異物
CO2スノージェット洗浄装置は、有機系異物に対して高い洗浄効果を発揮します。有機物とは、炭素原子を含んだ化合物の総称です。
人体で作られる脂肪やたんぱく質も有機物です。セルロース系異物も有機物です。主に衣類から発塵することがあります。
工場の生産現場では、人から起因する有機系異物・皮脂汚れが回路の接点や接合部に付着して汚染することがあります。有機系異物は、エアーブロー・集塵型ノズルシステムでは、除去するのが難しい事があり、対処するのに手を焼くかもしれません。
CO2スノージェット洗浄装置は、このような有機系異物をドライ洗浄するのに高い効果を発揮します。
◆膜状汚染物・油膜
接着剤の残渣が薄膜状にこびれついたもの、油が薄膜状に付着したもの。このような薄膜状汚染物をCO2スノージェット洗浄装置でドライ洗浄します。
◆レーザー加工後の すす・ヒューム
ガラス基板のレーザー加工で発生した すす・ヒュームをCO2スノージェット洗浄装置でドライ洗浄します。
その他、CO2スノージェット洗浄装置では
◆フラックスの残渣(プリント基板)
◆純銅の酸化皮膜(スパッタリング)
ような汚染物も洗浄対象になります。
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機器構成・装置技術
洗浄装置は、大きくプロセスモジュールとノズルで構成されています。
プロセスモジュールは、液化炭酸ガス用電磁弁・フィルター・クーラー・レギュレーター、圧縮エア用電磁弁・フィルター、レギュレーター、PLC、これらの部品を内蔵してユニット化したものです。プロセスモジュールから液化炭酸ガス液送用チューブ・圧縮エア用ホースを介して、ノズルへ接続しています。
独自に設計された液化炭酸ガス液送技術が配管の結露・ノズル詰まりのリスクを最小限にしています。
特許取得済のノズルは、再現性が高いスノーを噴霧することが出来ます。
パーツtoパーツの洗浄プロセスで必須の断続運転・間欠運転に対応できます。
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ユーティリティー
CO2スノージェット洗浄装置のユーティリティーは、液化炭酸ガス・ドライ圧縮エア・電源です。
液化炭酸ガスは、消費量が少ない用途ではボンベを使用します。ボンベは、底の液体CO2を吸い上げる管が付いたサイホン式のボンベを使います。消費量が多い用途では、タンクから供給します。
CO2スノージェット洗浄装置のメリット
◆ドライ洗浄!
◆有機溶剤を使用しません!
◆短いタクト・早い洗浄時間!
◆残留物を残さない洗浄!
◆局所洗浄・部分洗浄ができます! (洗浄不要の部位にはマスキング)
◆湿式洗浄・ウェット洗浄のような廃液処理の問題がありません!
◆環境にやさしい洗浄技術!
◆バッチ洗浄工程・自動洗浄工程、どちらにも適用できます!
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カーボンニュートラルとの関係
CO2スノージェット洗浄装置は、運転中は、ノズルから二酸化炭素を吐出しています。これは、カーボンニュートラルを考慮に入れたうえで、どのように理解したらよいのでしょうか。
CO2スノージェット洗浄装置は、ユーティリティー(供給源)に液化炭酸ガスを使用しています。
液化炭酸ガスは、石油精製工程やアンモニア製造工程で、生じる副産物(バイプロダクト)です。副産物として生み出されて、それを回収して再利用できるようにして液化炭酸ガスが作られています。
こうした、出来合いの液化炭酸ガスをCO2スノージェット洗浄装置へ供給して、ノズルから噴霧している事になります。
このプロセスでは、CO2スノージェット洗浄装置が新たに排出する二酸化炭素はありません。だから、CO2スノージェット洗浄装置がカーボンニュートラルにマイナスに働くという事ではないのです。
副産物として生じた液化炭酸ガスを、ただ捨ててしまうのはもったいないので、捨てる前にもう一度 役に立ってもらう ということになります。
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